豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2002/03年度の乳製品輸出量はほぼ前年度並み


● ● ● 乳製品輸出量は前年度より0.6%の減少 ● ● ●

 デイリー・オーストラリア(DA:2003年7月に旧豪州酪農庁(ADC)と旧酪農研
究開発公社(DRDC)を統合し設立)は、2002/03年度の豪州における乳製品の総
輸出量は前年度比0.6%減の92万5,758トンと報じた(表1)。

 製品別に見ると、チーズが同4.5%減の20万7,753トン、全粉乳が7.0%減の 19
万8,322トン、脱脂粉乳が 12.9%減の 19万5,429トン、バターが 7.3%減の 9万
9,414トンとなった。一方で、ホエイパウダーが同 75.2%増の77,760トン、カゼ
インが同55.8%増の20,415トンと大幅に増加している。

表1 乳製品輸出量
資料:DA「Export Summary」
 注:各年7月から6月までの累計

図1 1豪ドル当たりの対米セントの推移
資料:東京三菱銀行 為替相場より対米セントに換算

● ● ● 乳製品の輸出額は23.4%の大幅減 ● ● ●

 また、乳製品輸出総額は、前年度比23.4%減の24億8,667万豪ドル(約1,989億3千
円:1豪ドル=80円)となった。過去2年は豪ドル安と堅調な乳製品の国際価格から輸
出総額は 30億豪ドルを超える好調な年であったが、今年度は一転して大幅に減少し
た(表2)。為替相場の推移(1豪ドル当たり対USセント)を見ると、2000年2月以降
豪ドル安傾向となり、 2000/01年度、 2001/02年度は豪ドル安で推移していたが、
2003年2月以降は急激な豪ドル高傾向となった。乳製品の国際価格(ドイツ市場価格
情報センターによる脱脂紛乳、全紛乳の西欧積出港FOB価格)は、2001/02年度当初
から2001/02年度末にかけて低下し、 2002/03年度に入ってからは上昇傾向となっ
たが、 2002/03年度の平均国際価格は前年度より低いものとなった。豪州における
 2002/03年度の乳製品輸出は、前年度並みの輸出量であったが、豪ドル高と国際価
格の低下により輸出額が大幅に減少したと言える。
表2 乳製品輸出額
資料:DA「Export Summary」
 注:各年7月から6月までの累計

● ● ●2003/04年度の輸出量は大幅に減少と予測 ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)の需給予測では、2003/04年度の乳製品の輸出量は
カゼインを除いて大幅に減少すると予測している。 当年度の乳製品全体の世界的な
需要は、わずかに弱まるとみており、 豪ドル高による国際競争力の低下の影響もあ
ってバター(バターオイル等含む)は前年度比26.0%の減、チーズは同 12.8%の減、
脱脂粉乳は同 29.1%の減、全粉乳は同 35.2%の減とかなりの減少を見込んでいる。
乳製品の6割が輸出に向けられる輸出依存型の産業ゆえに国際需給の影響は避けられ
ないと言えよう。
図2 乳製品輸出量の予測
資料:ABERE「Australian Commondities」
 注:02/03年度は推定値、03/04年度は予測値


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