NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○南島での乳牛飼養頭数が大幅に増加


● ● ● 南島では8年間で飼養頭数2.4倍に ● ● ●

 先般、ニュージーランド(NZ)統計局が、2002年 6月30日現在における農業生
産に関する調査の最終結果を公表した。同局は、 1994年にNZ農林省(MAF)と協
力して同様の調査を実施し、その後1999年にも行っている。今回の報告は、1994
年の調査結果と比較して報告している。

 2002年6月30日現在におけるNZ全体の乳用牛飼養頭数は、516万2千頭となった。
1994年の飼養頭数383万9千頭と比較すると、8年間で34.5%増加したことになる。

 地域別に見ると、依然としてワイカト地域が最も多く166万3千頭と総飼養頭数
の約3割を占める。 次いでタラナキ地域の 65万2千頭(飼養頭数に占める割合は
12.6%)、カンタベリー地域の54万3千頭(同10.5%)となり、北島全体では327
万8千頭から383万2千頭と16.9%増加した。一方、南島は56万1千頭から 133万頭
と137.0%の増加となった。同年6月末の酪農家戸数は、北島で約12,000戸、南島
で約 2,500戸となっており、1戸当たりの飼養頭数は、北島の319頭に対し南島は
532頭と、南島の方が圧倒的に大きいことが分かる。 
表1:乳用牛の飼養頭数および農家戸数
資料:NZ統計局「2002Agricultural Producion Census」
 注:各年6月30日現在。N/Aは非公表

● ● ● 肉牛・羊産業の不振と規制緩和が要因 ● ● ●

 南島で乳用牛の飼養頭数が増加した背景には、肉用牛と羊の経営不振があるもの
と見られる。従来、NZで盛んであった羊の飼養は、頭数をみると北島、南島ともに
1994年に比べ 2割減少している。また、肉用牛の飼養頭数も NZ全体で 1割減少し、
両産業が振るわない様子がうかがえる。

 肉用牛と羊の経営不振の他にも、北島では土地の高騰や都市化による環境問題に
より、北島での規模拡大が困難になったことで、土地価格が安くかんがい用水が整
備された南島へ農家が移住したことが背景に考えられる。また、1999年4月から2年
間続いていたニュージーランド・デイリーグループ(NZDG)の南島への移動制限措
置が撤廃されたことが、南島での酪農の参入を加速したと見られている。
表2:他の畜産業との比較
資料:NZ統計局「2002Agricultural Producion Census」
 注:各年6月30日現在


元のページに戻る