好調に推移した2003年のブロイラー輸出


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 鶏肉生産量は過去最高の 764万5千トン ● ● ●

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2003年の鶏肉生産量(骨付きベース)は、前年比2.6%増の764万5千トンと過去最高を記録した。しかし、鶏肉生産量の約7割を占める国内消費向けが、景気停滞による所得の低下や輸出増に伴う国内価格の上昇などにより低迷したため、鶏肉生産量の伸びは2001年の9.8%増、2002年の13.4%増に比べ小幅にとどまっている。このため、ひなふ化羽数についても、2001年、2002年と好調な鶏肉輸出を背景にひなふ化羽数は増加傾向にあったが、2003年は前年比2.3%増の39億710万羽となり、その増加率は鈍化している(図1)。

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、1人当たり年間消費量は、前年比3.9%減の32.1キログラムとなり、96年以来7年ぶりに前年を下回った。


ひなふ化羽数の推移
資料:APINCO

● ● ● 鶏肉輸出は高水準を維持 ● ● ●

 一方、2003年の鶏肉輸出量(骨付きベース)は、前年比20.1%増の192万トンとなった。また、鶏肉生産量に占める輸出量の割合は年々増加しており、2003年は25.1%となっている。

   国別の輸出量を見ると、5月から関税割当制度を導入したロシアが、前年比31.8%減の20万1,500トンとなったものの、その他の主要な輸出先では、サウジアラビアが同14.8%増の28万8,100トン、香港が同39.2%増の19万9,300トン、日本が同12.6%増の18万4,950トンとそれぞれ前年を大きく上回った(図2)。


図2 国別輸出量の推移
資料:SECEX

● ● ● 2004年はさらなる輸出増の見込み ● ● ●

 2004年1月以降アジアを中心に発生している鳥インフルエンザにより、主要輸入国はブラジルを数少ない供給国としていることに加え、2003年12月の米国でのBSE発生と相まって輸出の拡大が予想されている。ブラジルは食肉輸出拡大の好機と見て、1月下旬から2月初めにかけて日本、韓国及び台湾へミッションを派遣するなど、積極的な輸出姿勢を示している。これにより、タイからの鶏肉輸入を禁止している韓国へは、韓国側によるブラジルの生産工場の査察の後、5万トンが輸出されるものとみられている。

 また、日本の輸入量全体の7割を中国、タイ、米国が占めているが、これらの国からの輸入停止措置により、代替先としてブラジルへの引き合いが増えていることから、日本向け輸出の増加も見込まれている。

 こうしたことからブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)では、2004年の輸出量を前年比15%増と予測している。

 なお、速報値によると、2004年1月の輸出量は、前年同月を7.1%上回る15万6,900トン、輸出額は同38.9%増の1億5,510万ドル(約170億6,100万円:1ドル=110円)となった。輸出額の増加は、国際価格の回復に伴うものとみられている。


元のページに戻る