鶏肉の卸売価格は上昇


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 卸売価格は上昇 ● ● ●

 2003年11月のブロイラー卸売価格は、キログラム当たり28.1バーツ(79円:1バーツ=2.8円)と前月に比較して18%上昇した。これは生産量が10月とほぼ同じだったものの、日本への輸出が前年比で11%増と好調だったことも一因となった。

● ● ● 農家販売価格も回復継続 ● ● ●

 農家販売価格は2003年7月にピークを迎えた後、競争相手である中国の輸出再開の影響もあって8月から9月にかけて大きく落ち込んだが、10月には回復に向かい11月もその傾向が続いている。

農家販売価格の推移
資料:タイ商務省

● ● ● 鳥インフルエンザの鶏肉企業への影響 ● ● ●

 日本政府は1月22日、タイからの家きん製品の一時輸入停止措置を発表し、タイから日本への鶏肉製品の輸出は不可能となった。また、タイ政府が翌23日に同国内で鳥インフルエンザの発生を認め、EUも同国からの鶏肉輸入を停止した。

 その後、タイ政府は国内での防疫作業を進める一方、タイ側は日本に対して鶏肉調製品の工場申請を行い、日本側の検査の後、2月27日に鶏肉調製品の日本への輸出が可能となった。

 今後、順次、事態の改善が期待されるが、これまでのところ、鳥インフルエンザのタイの主要鶏肉輸出企業への影響は次のとおりである。

CPF社
 アジア最大の農産および飼料会社であるCPF(チャロンポカパンフーズ)は、巨大コングロマリットCPグループの基幹企業で、2003年の推定売上高が773億バーツ(2,164億円:1バーツ=2.8円)であり、うち20%が輸出産品となっており、その多くが鶏肉及び鶏肉加工品である。同社の幹部は、今回の鳥インフルエンザの影響で直接的に輸出が不可能になったのは冷凍鶏肉であり、CPグループ全体の売上に占める比率が6%に過ぎないため、限定的な影響にとどまるとしている。

サハファーム社
 同社は1970年に設立され、鶏肉専門企業として1975年から鶏肉輸出を行っている。今回の鳥インフルエンザの発生は、インテグレーターとして鶏の生産から加工販売そして飼料部門を持つ同社にとって、この30年間で最悪の事態といえる。また、同社は年間の売上高に相当する100億バーツ(280億円)をかけて鶏肉処理プラントの増設を計画しており、実現すれば、従前の生産能力が倍増する。同社の経営者は、厳しい状況下であるが、この計画は実行するとしている。

ベタグロ社
 同社は飼料、畜産、動物医薬および穀物生産の各部門を持ち、中でも畜産部門では鶏肉と豚肉に特化して事業を展開している。昨年36周年を迎え、30億バーツ(84億円)を二つ目の食品加工施設に投資した。鳥インフルエンザ発生前には2004年の売上計画はとして前年比1割増の275億バーツ(770億円)(うち輸出が100億バーツ(280億円))と見込んでいたが、鳥インフルエンザの発生により、その達成が危ぶまれている。

GFPT社
 同社の事業は畜産に特化しており、鳥インフルエンザの発生により、一時は、株価が3割ほど下落した。また同社は昨年3億バーツ(8億4,000万円)をかけて自社ビルを建設したほか、自社で生産する輸出向け鶏のための飼料工場3億5,000万バーツ(9億8,000万円)で建設し、この他に5億バーツ(14億円)をかけて2005年までに1日当たり処理羽数を13万羽から20万羽にしようとしていた。当初、2004年の売上を2003年の80億バーツ(224億円)から7〜8%引き上げようと計画していたが、経営者は、鳥インフルエンザによりこの計画への多大な影響は避けられないとしている。



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