付録2  (ブラジルの有機に係る法律第10831号(2003年12月23日付け))


 大統領は、国会が本法令を承認したことを認識し認可する。

第1条
   農牧有機生産システムとは、既に存在する天然資源や社会経済資源の活用を最適化し、農業生産者文化の特殊な技術を保護・尊重、経済的及び生態学的な持続、社会恩典の最大化、再生不可能なエネルギーに対する依存の最小化を目的とし、生産、加工、貯蔵、流通、販売のすべての段階において可能な限り合成物質の代わりに伝統的な手法、または生物学的方法や機械を用い、かつ遺伝子組み換え体及びイオン化放射線の利用を排除し、環境を保護するすべてのものをいう。

補項1 有機生産システムの目的は、

 
I
-
 汚染物質に汚染されていない健全な商品を意識的に供給すること
 
II
-
 生産システムが存在している生態系の生物多様性の保全、および(人間の手が加えられて)変化した生態系を修復または増強すること。
 
III
-
 土壌の生物学的活動を増進すること。
 
IV
-
 土壌、水、大気の健全な利用を推進し、農業活動によるこれらの汚染を最小限に抑えること。
 
V
-
 長期間にわたり土壌の肥沃度を維持・向上させること。
 
VI
-
 有機物の残余物をリサイクルし、再生不可能資源の利用を最少限に抑えること。
 
VII
-
 再生可能資源を用いたまたは地域で形成された農業生産システムを基礎とすること。
 
VIII
-
 有機製品の生産連鎖の各段階相互及び消費者との交流を奨励し、また有機製品の生産・販売を地域においても奨励すること。
 
IX
-
 有機製品に係わるすべての段階において、有機製品とたらしめる有機的完全性・決定的性質を維持することを目的とし丁寧に取り扱うこと。

補項2  農畜産業における有機生産システムの概念は、エコロジー的、バイオダイナミック的、自然的、再生的、生物学的、農業生態学的等と称するもの、これら以外に本法律が定める原則に該当するものすべてに及ぶものである。

第2条
 有機農業製品または有機製品とは、生鮮、加工を問わず有機農牧生産システムによって生産されたもの、または地域の生態系に害を及ばさない持続的採集プロセスで取得されたものを指す。

補項  この法律において、第2条本文が定義する製品の生産に携わるすべての個人及び法人を生産者とみなす。

第3条
 有機製品を販売するためには規則によって定められる基準に従って公的承認を受けた証明機関の認定を受ける必要がある。

補項1  家族生産者が消費者に直接販売する場合、独自の組織を構成しかつその管理を行い事前に監視機関に登録し、監視機関及び消費者が行う製品に対する追跡や、生産地及び加工施設へのアクセスを保証することを条件に有機認定は任意で行ってよいものとする。

補項2  第3条本文が定める有機生産の認定は、適用する各システム、基準、状況、国内に異なった証明制度が存在することを考慮し、本法律の規則化の対象事項となる。

第4条
 規則により規定される有機製品の特徴に係る品質の責任は、生産者、流通業者、販売業者及び証明機関がそれぞれの関与するレベルに応じて負うものとする。

補項  第4条本文が定める責任を負うことにより有機生産連鎖を構成する者は、その他の規則やルールで規定されている製品の行程と品質に関する遵守事項を免除されるものではない。

第5条
 国産または輸入の有機製品に係る生産、流通、貯蔵、販売、認定の監視方法は、行政権が発行する規定の対象となる。

補項1  この法律の施行に関する規則により連邦政府が担う役割を定めるものとする。

補項2  この法律の施行にあたり連邦および州(連邦区を含む)の各機関や組織間で、協定・合意を結んでもよいものとする。

第6条
 この法律に違反する場合、該当する民事及び刑事責任の追及を免除されることなく、かつ行政措置によって調査され、下記の罰則を個別または重複的に課すものとする。

I
-
警告
II
-
最高100万レアルの罰金
III
-
製品の販売停止
IV
-
製品、ラベル、パッケージ、原料の非承認
V
-
製品の破棄
VI
-
承認、認定、許可、登録またはライセンスの停止
VII
-
承認、認定、許可、登録またはライセンスの取り消し

第7条
 この法律が定める目的を達成するために不可欠と見られる製品の処分、あるいは押収または受入れを拒否された製品の処分に関する決定は、この法律に基づく規則で定められた機関が定める規則に基づいて行う。

補項1 押収した財の保持者を、当該措置の受託者として任命する可能性がある。

補項2 本条が定めるすべての手続に係る経費は、違反者が負うものとする。

第8条
 有機製品を生産、輸送、販売または貯蔵する個人あるいは公益・私的法人は、それら業務の監督所管官庁において活動の登録をすること。

補項  許可、登録、ライセンス及びその他の管理手法は、この法律の規則及びその他の法規定に基づいて行うこと。

第9条
 資材に関係する他の法令に、有機農業用に規定された資材を追加することは、差別化する登録手続の簡易化と迅速化を可能にする。

補項  監督所管官庁が補足規定によって第9条本文の規定の実施に関する方法を定める。

第10条
 動植物衛生の要求事項を満たすにあたり、その業務の所管当局は可能な限り有機製品の特性・特殊性を損じることがないよう、それに応じた措置を下すこと。

第11条
 行政権はこの法律の規定に従い、国家および州(連邦区含む)における有機生産に係る技術規則および管理体制を定める。

補項1  規則を定めるにあたり、有機生産連鎖のいずれかのステップにおいて活躍が認められる生産者および民間社会からの代表者の参加を認める。

補項2  ここで定められた規則は必要に応じ、また最高4年以内に見直し更新されるものとする。

第12条
 (国会通過法案においては「行政権は、この法律公布後90日以内に各規則を定めるものとする」とあったが、憲法が定める三権分立により「立法権が行政権に対して期限を定めるのは違憲である」との解釈から、大統領によって本条項は拒否された。)

補項  この法律に従って定められる規則で、この法律制定以前に公の規則によって定められていなかった手法については、生産連鎖のすべての分野が適応するための期間として最低1年の猶予期間を設ける。


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