2003/04年度第3回主要穀物生産状況を発表 ● ブラジル


第3回調査結果では生産量は記録更新の見込み

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2月19日、2003/04年度の主要穀物生産状況に関する第3回の調査結果を発表した。生産状況調査は一農年期の作付けから収穫に至る間に5〜6回程度行われるもので、今回は2月2日〜6日に主要生産地を対象に行われた。第3回調査は、当該農年度の収穫直前の時期に行われ、生産状況を推測する上で重要性の高いものとなっている。なお、CONABの発表に先立ちロドリゲス農相は「2003/04年度の主要穀物生産量は、新記録を達成した前年度をさらに上回る記録を達成するであろう」と話している。

 主要穀物(油糧種子を含む14品目)の作付面積は前年度より306万ヘクタール、7.0%増加し4,701万ヘクタールに、生産量は766万トン、6.2%増加し1億3,083万トンの見込みとなっている。なお今回の調査結果は、夏期に収穫され始める作物(夏期作)の作付面積は確定的と言えるが、夏期作の生産量およびこれから作付けされ冬期に収穫される作物(冬期作)は、今後の天候条件によって作付面積または生産量の見込みが修正されることになる。ちなみに今回の生産量は、天候不順による影響を考慮した1ヘクタール当たり収量を生産面積に乗じて算出されている。

 主要生産地における天候の概況として、中西部、南東部および南部において、12月には高温や乾燥、1月には降雨の過剰が見られるなど、第1期作(夏期作)トウモロコシや大豆の生育に影響を与えたが、2月に入り降雨状況は正常化し被害の拡大は止まっている。また北東部においては12月に降雨量が不足したため作付けが遅れる地域もあったが1月には降雨があり、良好な条件下となった。

トウモロコシ生産量は前年度比で2.2%減少

 トウモロコシの生産面積は前年度の1,323万ヘクタールから0.6%減少し1,315万ヘクタール、生産量は同4,741万トンから2.2%減少し4,635万トンになる見込みである。

 このうち第1期作(夏期作)の作付面積は大豆栽培に転換されたことなどから(作付面積の減少理由は本紙通巻第602号を参照)、前年度の966万ヘクタールから1.9%減少し948万ヘクタールになる見込みである。また主要生産地帯の南部においては、天候不順により1ヘクタール当たり収量が前年度比で0.8%減少した。よって生産量は前年度の3,461万トンから2.6%減少して3,373万トンと見込まれる。なおCONABは、天候に恵まれた北東部では1ヘクタール当たり収量が前年度比で5.6%増加したことにより、生産量は前年度の302万トンから7.6%増の325万トンと予測し、「北東部では自給の可能性があることが注目される」としている。

 また第2期作(冬期作)の作付けに影響を与える要因としては、(1)価格が伸びなかった小麦からの転換(2)世界在庫の減少による国際価格の上昇(3)輸出志向の継続−などが挙げられ、これらを考慮して作付面積は前年度比3.0%増の367万へクタールになるが、1ヘクタール当たり収量は天候不順を想定して同4.3%減少するとし、生産量は同1.4%減の1,262万トンと見込んでいる。

大豆生産量は前年比10.8%増、需要は国内外とも増加を予想

 大豆生産面積は、前年度の1,848万ヘクタールより14.0%増加し2,107万ヘクタール、生産量は同5,203万トンより10.8%増加し5,767万トンと見込まれる。CONABによれば生産面積の増加分(259万ヘクタール)のうち55%は米、15%が第1期作トウモロコシからの作付け変更、20%が牧草地から転換され、残り10%は土地開拓によるものとしている。なお、(1)主要生産地帯である南部では、長期乾燥の影響により1ヘクタール当たりの地域平均収量が前年度より6.1%減少(2)中西部に位置し国内第4位の生産面積を有するゴイアス州や北部・北東部などではアジアさび病の発生−などで収量が減少したが、生産面積が増加したため、生産量は前年度より10%以上増加する見込みとなっている。

 なおCONABは、(1)国際的には@世界経済の回復Aイラクやアフガニスタンの復興などによる中東諸国からの食用油需要の増加、(2)国内的には、アジア、米国における鳥インフルエンザの発生によりブラジル産鶏肉の需要が高まり、飼料となる大豆かすやトウモロコシの消費が増加すると予想している。

 なお、第3回調査後に南部においては乾燥が、中西部のマットグロッソドスル州においては降雨の過剰が見られるため、生産者団体等は第3回調査結果よりも生産量がかなり減少するとの見通しに予測を変更している。


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