韓国の牛肉需給


韓国の2003年の牛肉需給

 米農務省海外農業局(USDA/FAS)が2月に発表した報告によれば、韓国の景気は1990年代後半から経済危機を脱し順調に推移している。また、2001年1月から牛肉の輸入自由化が行われた。近年,景気の伸びは鈍化しているが、1997年の通貨危機を契機に一般庶民には高嶺の花だった牛肉は、韓牛の4分の1程度の値段が消費者に受け入れられ、米国などの輸入牛肉を中心に焼肉などのバラ系の需要を背景に韓国国民に浸透してきた。

 しかし、2003年12月24日、最大の牛肉輸入国である米国でBSEが確認され、韓国政府は米国からの牛肉などの輸入停止措置を行った。また、2003年12月11日、国内において鳥インフルエンザが確認され、牛肉と鶏肉の消費は大きく落ち込んだ。

飼養頭数の減少により韓牛価格は上昇

 韓牛の飼養頭数は1993年に226万頭、通貨危機後の1999年には93年比23.7%減の195万頭、2003年では同37%減の142万頭と大きく減少している。このことにより、韓牛去勢牛の生体価格は、2003年平均で生体重500キログラム当たり3,300米ドル(約36万6,300円、1米ドル=111円)となり、去勢牛の平均利益は1頭当たり1,000米ドル(11万1,000円)となった。飼養頭数の減少を受けて政府は、3産以上の繁殖雌牛に対する金利助成などの生産奨励措置により飼養頭数の増加を誘引しているが、減少傾向は継続しており生体価格は高含みで推移している。

 韓牛のターゲットは高額所得者となっているため、2003年は景気が減速し始めかつ韓牛価格が輸入牛肉価格の4倍となっているにもかかわらず強い需要を示している。一方、米国、豪州などの原産地価格の上昇による輸入牛肉の価格高騰と景気の後退で牛肉全体の消費は低下したが、2004年は景気が回復すれば牛肉全体の消費の増加を期待できると予測している。

2004年の牛肉消費のカギは消費者の信頼

 韓国農村経済研究院(KREI)が2004年1月16日に公表した消費者調査によると、米国産牛肉の安全性に対し何らかの不信感を抱いている者は87.4%となり安全であると回答したのはわずか4.2%にすぎなかった。また、韓国で販売されている牛肉の原産地表示が信頼できるとの回答は20.2%となり、米国産の牛肉の輸入停止措置以降、偽装牛肉表示などが行われた報道がなされたことなどで、米国産牛肉のみならず豪州産では66.6%、韓牛でも34.6%が安全と言えないと回答し、韓国で販売されている全ての牛肉に対して消費者の信頼が低下し、牛肉消費に大きな影響を与えている。

表1 韓国の国別牛肉輸入量
(単位:トン)
資料:韓国税関
注:製品重量


表2 韓牛の飼養頭数(1月1日現在)
(単位:千頭)
資料:NAPQMS

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