米国のBSE発生で躍進した2003/04年度の牛肉輸出


◇絵でみる需給動向◇


●●●今年度の価格高騰は米国のBSE発生が影響●●●

 6月に豪州農業資源経済局(ABARE)が公表した四半期ごとの農産品需給予測によると、2003/04年度(7〜6月)の対日および対米牛肉輸出価格は、概算でそれぞれ前年度比28.3%高、18.3%高のキログラム当たり413米セント(約450円、1米ドル=109円)、239米セント(約261円)となる見込みとなった。これは、米国産牛肉の輸入停止措置に伴い国際的な牛肉供給量が伸び悩んだこと、また米国国内においておう盛な牛肉需要に国内供給が追いつかず輸入を増大させたことから、国際価格の上昇を招き、豪州産牛肉の価格高騰へと波及した。

表1 牛肉輸出価格の需給予測
注:2003/04年度は概算値、2004/05年度は予測値。


●●●豪州産牛肉が代替品として注目される●●●

 今年度は、米国BSE発生に伴う輸入停止措置の影響により、豪州産牛肉が代替品として注目されたことから、北アジア向けを中心に豪州産牛肉の輸出量が増大した。中でも、日本向けの輸出量の増加は顕著で、2003/04年度の対日輸出量は前年度比13.0%増の31万3千トンとなると見込んでいる。また、月別にみても輸入停止措置が採られた2004年1月以降、前年同月比3〜5割増と記録的な伸びをみせている。

表2 牛肉輸出量の需給予測
(単位:千トン)
注1:船積ベース
  2:2003/04年度は概算値、2004/05年度は予測値。


●●●輸入停止措置解禁のタイミングに注視●●●

 ABAREは、米国産牛肉の輸入停止措置の解禁を2004年11月ごろと予想している。牛肉の国際価格は当分の間堅調に推移するが、輸入停止措置が解禁されると、米国産牛肉がマーケットに再参入し需給の不均衡が緩和されることから、北アジア向けを中心に輸出価格が急落するとしている。この仮定に基づいてABAREが試算した予測によると、2004/05年度の対日輸出価格は前年度比6.1%安の388米セント(約423円)となるとしている。輸出価格の下落は利潤を減少させるが、一方で直近の豪ドル安の傾向が今後とも維持されるとすれば、その減少分を部分的に相殺することができるとしている。

 ただし、今年度の輸出動向の変化は突発的な事情によるところが大きく、輸出構造の変化にまでは至らない。したがって、米国産牛肉の輸入再開の時期は、豪州畜産業界にとって、重大関心事となっている。


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