乳製品輸出は2004/05年度も強気を維持


◇絵でみる需給動向◇


●●●豪ドル安でマージンが拡大●●●

 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月、四半期ごとの農産品需給予測を公表した。それによると、2004/05年度の生乳生産者価格は、前年度と比較して2.2%高の1リットル当たり27.3豪セント(約21円、1豪ドル=77円)になると試算された。ABAREの予測では、今後とも乳製品国際価格が高値で維持されるとともに、米国の金利上昇により年度後半から豪ドル安の進展が予想されることから、乳製品輸出のマージンが拡大すると見込んでいる。

 また、来年度の生乳生産は、酪農に適した季節条件が改善しつつあり、乳用牛飼養頭数の増加が見込まれることから、同2.3%増の1,033万8千リットルになるとしている。

表1 生乳生産の需給予測
注:2003/04年度は概算値、2004/05年度は予測値。


●●●国際的な乳製品需要は依然強い●●●

 ABAREによると、乳製品の供給量が先細りする中、国際的な需要が来年度も引き続き堅調なことから、乳製品の国際価格は高値で推移するものと予想されている。2004/05年度のチーズ国際価格は、日本およびEUにおいて強い需要の伸びをみせることから、前年度比4.6%高の1トン当たり2,450米ドル(約26万7千円、1米ドル=109円)となり、乳製品の中でも突出した高値をつけるとしている。また、バターの国際価格は、バターの主要輸入国であるロシアの需要が改善したことから、同3.1%高の1,650米ドル(約18万円)となると予想している。

表2 国際価格の需給予測
(単位:米ドル/リットル)
注:2003/04年度は概算値、2004/05年度は予測値。


●●●EU拡大は当面脅威とならず●●●

 豪州の乳製品輸出量の2倍以上を誇るEUが25カ国体制に拡大したことについて、ABAREは当面は脅威とならないとして楽観的な見通しを示している。ABAREは、新規加盟国の酪農家が既存のEU品質基準に満たすまでにはまだ時間がかかるとみており、短期的には、乳製品の国際供給量に何ら影響を及ぼさないであろうと予測している。

 このようなことから、来年度の乳製品輸出も、今年度と同様、豪州およびニュージーランド(NZ)が主導することになりそうだ。特に、NZは季節条件の改善から供給量の伸びが期待され、国際的な供給量を下支えするとみている。



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