干ばつの影響で2002/03年度の農家経営は悪化見込み ● 豪 州


農家損益20年ぶりの低水準

 豪州農業資源経済局(ABARE)は11月末、「2003年農家調査」を発表した。この調査は、部門ごとの抽出農家を対象に経営状況を分析するもので、大きく分けて(1)穀物・畜産部門(穀物専業(小麦主体)、穀物・畜産複合、羊・肉牛複合、羊専業、肉牛専業の5部門)と(2)酪農部門の調査から構成される。

 全般的な傾向を代表する穀物・畜産部門の調査によると、干ばつに見舞われた2002/03年度の1農場当たりの事業損益は、平均4万6,300豪ドル(約380万円:1豪ドル=82円)の損失となり、同様に干ばつの影響を受けた1982/83年度以来最も悪い見込みである。前年度の事業損益は平均4万2,720豪ドル(約350万円)とこの四半世紀で最も良い業績であったが、2002/03年度は一転した。今回の干ばつは農畜産物の生産の減少だけでなく、個々の農家経営にも深刻な影響を与えたことが分かる。中でも、特に穀物専業、肉牛専業、酪農で事業損益の赤字額が多い。

肉牛専業は出荷増も収入減

 穀物・畜産部門の中で肉牛専業部門についてみると、飼養頭数は干ばつによる出荷増の結果、2002/03年度では前年度から約6%減少した。しかし、出荷増にもかかわらず、現金収入は家畜市場での取引価格の低下や仕上げ体重が十分でない状態での販売によって15%減少した。

 また、現金支出には補助飼料費や預託費の増加が大きく反映し、その結果、2002/03年度の現金所得は、前年度から59%も減少した。

 さらに、飼養頭数の縮減によって、事業損益は前年度から1農場当たり9万8,010豪ドル(約804万円)も減少した。


酪農は生産減と飼料費などの増

 酪農部門についてみると、干ばつの影響はビクトリア州北部のかんがい地域で特に大きく、2002/03年度の総生乳生産は、1951/52年度以来単年度としては最大となる8.4%の減少を記録した。現金収入の大部分を占める生乳販売収入は、生産減少に加え低迷する乳価の影響から多くの州で減少した。

 また、この20年間で酪農家の購入乾牧草への依存度は高まってきたが、牧草生育状況の悪化とかんがい用水の不足は、2002/03年度において購入乾牧草の需要をより高めた。これにより、現金支出では飼料価格の上昇を伴う購入乾牧草とかんがい用水の確保経費が大幅に上昇した。

 これらにより、2002/03年度の現金所得は前年度から81%減少し、事業損益は乳牛を淘汰し牛群を縮小したことが反映し、前年度から1農場当たり13万7,480豪ドル(約1,127万円)も減少した。


冬作穀物豊作予測も農相は干ばつの影響継続を警告

 一方、ABAREは12月2日、最新版の「穀物レポート」を発表したが、前回同様、干ばつの緩和を反映し、2003/04年度の小麦や大麦などの冬作穀物の生産は史上2番目の豊作を予想している。

 ただし、このレポートの発表に際して連邦政府のトラス農相は、「まだ干ばつは歴史のひとこまになっていない」とした上で、「多くの生産者は干ばつの影響下にあり、家畜の再調達費や飼料費、ばらつきのある牧草の生育状況、夏季に向けたかんがい用水の確保などの問題を抱えている」と注意を促している。

○ 農家経営状況の推移(肉牛専業、酪農)
(単位:豪ドル/1農場)
資料:ABARE「Australian Farm Surveys Report 2003」
注1:2001/02年度は暫定値、2002/03年度は見込み値
 2:事業損益は、現金所得に在庫増減額を加算し、減価償却費と家族労働費を除算したもの

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