カナダ農業食品省、と畜促進プログラムを公表


カナダ農業食品省、老廃牛のと畜促進プログラムを公表

 バンクリフカナダ農業食品大臣は、11月21日、老廃牛のと畜に対し、1頭当たり最大で320カナダドル(約2万6,900円、1カナダドル=約84円)の助成をする、と畜促進プログラムを公表した。このプログラムは、米国への30カ月齢以下の肥育牛および肥育素牛の輸出再開に向けた国内環境を整えるとともに、乳用種をはじめとする老牛の農場でのと殺を減らすことを目的としている。同大臣は、このプログラムは州政府や業界とも協議を重ねてきた結果であり、産業の健全な状況を長期的に保つための最善の策であるとした。

 具体的には今年9月1日から来年12月31日までの間にと畜された老廃牛(乳用牛・肉用繁殖雌牛)について、1頭当たり159カナダドル(約1万3,400円)を助成するとともに、12月16日から来年3月24日までの間にと畜用に売却された場合にあっては、冬期の補助飼料相当として1日当たり1カナダドル(約84円)を併せて助成する。また、肉用雌牛にあっては、当該農家の総飼養繁殖雌牛の8%、乳用牛にあっては当該農家の総搾乳牛頭数の16%がプログラムへの参加の上限とされる。

 これに伴い、連邦政府は1億2千万カナダドル(約100億8千万円)の予算を措置した。本プログラムの連邦政府と州政府の費用負担は6対4であるため、プログラムの総予算額は2億カナダドル(約168億円)となる。

アルバータ州政府は連邦のプログラムを歓迎

 マクレーン・アルバータ州農業大臣は21日、連邦政府が提示したプログラムは、と畜を強要するものではなく、個々の家畜の本来の価値を配慮して欲しいとのアルバータ州の農家の要望を反映するものであるとして、歓迎の意向を表明するとともに、このプログラムの実施により、と畜能力の向上を図る製品の新たな市場開拓等の努力を業界とともに進めていくとの声明を公表した。

 アルバータ州では、5月20日のBSEの発生からこれまでに、政府から5億カナダドル(約420億円)以上がフィードロット等に対し支払われている。

カナダの生産者からは不満の声

 カナダ肉用牛生産者協会(CCA)は、BSEの発生前には1頭当たり約800カナダドル(約6万7,200円)であった老廃牛の価格が、米国への部分肉の輸出再開後も、輸出再開が30カ月齢未満に限定されていることから、約200カナダドル(約1万6,800円)まで低落している状況に鑑み、連邦政府に対応を求めていた。CCAはカナダでは通常、年間70万頭の老廃牛がと畜されているとしている。  

 CCAは、政府が公表したプログラムについて、政府からの助成はと畜後にしか受け取れず、これまでの経験からするとこの種のプログラムは市場での生体牛の価格を抑え、農家の実際の手取りへの貢献がわずかに過ぎないことや、地域によっては老廃牛を売却しようとしても近隣にと畜施設がない等の問題点を指摘し、老廃牛も含めた輸出の再開がなされるまで本質的な問題は解決されないとの不満を示した。

 また、酪農家からも、乳廃牛価格の低迷に加え、米国への初妊牛の輸出が停止していることから、これらの牛が農家に保留される状況にあり、冬の舎飼期に入る前の早めの対策が求められていた。

BSE発生にともなうカナダ畜産業界の損失は45億米ドル(約4,905億円)

 アルバータ州の調査会社は、この程、2004年初めまで生体の輸入が解禁されない場合のカナダ畜産牛業界の損失は45億米ドル(約4,905億円、1ドル=約109円)に上るとの試算を公表した。このうち、生体価格の低落に伴う損失は、約半分を占める22億7千万ドル(約2,474億円)とされ、食肉の輸出停止による損害は5億3千万ドル(約578億円)とされている。なお、この45億米ドルの損失の他に、カナダの地域経済への2次的におよぼす影響が13億6千ドル(約1,482億円)に上るものとしている。


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