飼養頭数の減少は、チョイス級牛肉の需要を拡大


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 総飼養頭数は前年比0.6%減 ● ● ●

 米農務省(USDA)が公表した牛飼養動向調査によると、2004年1月1日現在の牛総飼養頭数は前年を1.3%下回る9,488万頭となった。1月1日現在の飼養頭数は、1996年をピークに8年連続で減少しており、キャトルサイクルの下降局面が継続している。

 牛群構築の指標となる繁殖用雌牛頭数は、前年比0.7%減の4,185万頭となっており、その内訳を見ると、肉専用種は同0.4%減の3,286万頭、乳用種は同1.7%減の899万頭となっている。また、500ポンド(約227キログラム)以上の更新用未経産牛については、全体で同1.5%減の1,934万頭、肉専用種は1.9%減の551万頭、乳用種は15.1%減の349万頭となり肉専用種、乳用種いずれも前年を下回っている。


飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS「Cattle」
 注:各年1月1日現在

牛の飼養動向
(単位:千頭、%)
資料:USDA/NASS「Cattle」
 注:1)500ポンド以上
   2)500ポンド未満の子牛
   3)各年1月1日現在

● ● ● BSEの影響は国内需要と相殺 ● ● ●

  昨年12月23日に米国で確認されたBSEにより、日本をはじめとする輸入相手国の牛肉等の輸入停止措置は現在も継続している。米国の牛肉生産量に占める輸出量の割合は1割に過ぎず、日本、韓国、メキシコ、カナダでその輸出量の9割を占めるが、現段階では米国産牛肉の安全性の確認ができないために、輸入解禁までは長期化の様相を呈している。

 米国内の昨年末までの牛肉の需給状況は、先に述べた肉牛飼養頭数の一貫した減少傾向を背景に肥育素牛価格高、さらには干ばつを背景として肥育コストの増加、と畜枝肉重量の低下などにより、チョイス級以上の牛肉不足が深刻化していた。日本、韓国はチョイス級の仕向け先となっており、これら輸入国の輸入停止措置により、米国内で不足していたチョイス級の牛肉が流通する結果となったため、国内市場が活気づいているとされる。

● ● ● ひき材の確保と副産物の取り扱いが問題 ● ● ●

 今後、輸入停止を受けて、ひき材原料としてチョイス級などの赤身率の低いトリミングを利用せざるを得ないために赤身率を上げるため米国産の雌牛やオーストラリアやニュージーランド産の赤身率の高いひき材原料の需要が予想される。また、輸出依存度の高かった副産物は米国内ではほとんど消費されないためその取り扱いが懸念されている。


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