豚肉への輸出補助金を一時再開


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 例外的措置として実施 ● ● ●

 EUの豚肉管理委員会は2004年1月23日、豚枝肉などに対する輸出補助金の一時再開を決定した。欧州委員会は27日からこの措置を適用し、4月30日まで実施する予定である。

 欧州委員会によれば、欧州の養豚関係者は、@ユーロが米国ドルに対し非常に高い傾向で推移していることA牛肉消費の回復などから域内の豚肉需要が停滞していることBロシア向けなど域外向け輸出が減少していること−などの困難に直面し、域内の豚肉価格は非常に低迷している(左図:豚肉枝肉卸売価格参照)。さらに、昨年夏の猛暑による影響で飼料穀物の価格が上昇しているため、養豚農家の経営は大変厳しい状況となっている。このような状況は例外的なものであり、これに対処するためには例外的措置(輸出補助金)が必要であるとしていた。

 EUは豚肉価格の低迷を改善するため、昨年12月中旬に豚肉の民間在庫補助(APS)の導入を決定し、実施していた。欧州委員会によれば、1月23日までに既に8万5千トンの豚肉がこの対策の対象として申し込みが行われた。しかし、欧州委員会は、このAPSが豚肉価格の下落を止めることには寄与したが、好転させるには十分ではないとして、APSを一時中断し、今回の輸出補助金の再開に踏み切った。なお、APSは2月5日をもって受け付けを終了した。

● ● ● 輸出補助金の概要 ● ● ●

 今回の輸出補助金は、現在のEU域内(15カ国)から加盟予定国(10カ国)および加盟候補国(ルーマニア、ブルガリアの2カ国)以外の第3国に輸出される豚肉等の一部に適用されるものであり、補助の対象となる部位とその補助金単価の主なものは以下の通りとなっている。

(100キログラム当たり)
注:1ユーロ=133円で計算

● ● ● デンマークの関係者は不満を表明 ● ● ●

 豚枝肉などに対する輸出補助金は、2000年6月以来約3年半ぶりに一時再開したが、これについてデンマークの豚肉関連会社であるデニッシュクラウンは、「今回の措置による当社への恩恵は、非常に限られている。なぜなら、日本向けの豚肉(冷凍のロイン、骨なしバラ肉)などが、今回の輸出補助金の対象とされていないためである」と不満を表明している。また、同社はAPSを活用してきたが、輸出補助金の一時再開によりAPSは一時中断されることとなり、「良い対策(APS)が、それより劣る対策(輸出補助金)に取って代わられた」とのコメントを公表している。


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