2003年の農林水産物輸出額は過去最大    ● ブラジル


2003年の農林水産物輸出額は23.4%増

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)の統計を基に農務省がまとめた貿易動向によると、2003年(1〜12月)における同国の農林水産物の輸出額(FOBベース。以下同じ)は前年比23.4%増の306億3,898万ドル(約3兆2,171億円:1ドル=約105円)と過去最大となった。また、全輸出額に占める農林水産物の割合は前年の41.2%から41.9%へ0.7ポイント増加した。これに対し、同輸入額は6.6%増の47億9,052万ドル(約5,030億円)にとどまったことから、農林水産物の貿易収支は27.0%増の258億4,847万ドル(約2兆7,141億円)と大幅な黒字となった。輸出額の増加要因としては、主要な輸出産品の国際価格の上昇と新規市場の開拓を挙げている。

大豆および大豆製品の輸出額は35.2%増

 農林水産物の輸出額の内訳を見ると、大豆および大豆製品は、前年比35.2%増の81億2,537万ドル(約8,532億円)となり、全体の26.5%を占め最大である。品目別では、大豆(豆)が41.5%増の42億9,044万ドル(約4,505億円)、大豆かすが18.4%増の26億237万ドル(約2,732億円)、大豆油が58.4%増の12億3,255万ドル(約1,294億円)となった。このような増加要因として、2003年における同国の大豆収穫量が約5,200万トンと過去最大となったことに加え、米国の干ばつによる減産見込みと中国を中心としたアジアの需要増などにより国際価格が上昇したことなどを挙げている。

食肉類の輸出額も顕著に増加

 また、大豆および大豆製品に次いで輸出額の多い食肉類も顕著に増加した。食肉類の中で生鮮・冷蔵および冷凍肉の内訳を見ると、鶏肉の輸出額は前年比28.1%増の17億974万ドル(約1,795億円)、同輸出量は20.1%増の192万2千トン、牛肉の輸出額は48.7%増の11億5,451万ドル(約1,212億円)、同輸出量は44.1%の62万トン、豚肉の輸出額は12.2%増の5億2,658万ドル(約553億円)、同輸出量は2.0%増の45万8千トンとなった。また、主要な輸出相手先は前年とほとんど変わらず、鶏肉ではサウジアラビア、ロシア、香港、日本、牛肉ではチリ、ロシア、エジプト、サウジアラビア、豚肉ではロシア、香港、アルゼンチンなどとなっている。

 2003年における食肉輸出の増加要因について、政府や業界のコメントをまとめると、おおよそ次の通りである。

(1) 概して同国の家畜衛生状況が良好だったこと
(2) 輸出振興事業団(APEX、「畜産の情報」海外編2003年9月号P70を参照)の支援を受けた輸出企業による国際見本市への積極的な参加、輸出相手国に対する広告キャンペーンの実施などが奏功し、ブラジル産食肉の輸出市場におけるシェアが拡大したこと
(3) 2大牛肉輸出国である米国とオーストラリアで牛肉の供給態勢に問題があったこと
(4) 中国やEUでの鳥インフルエンザ発生による影響でブラジル産鶏肉に対する需要が高まったこと
(5) 輸出相手国のニーズに合わせ、製品の付加価値化を図ったこと
(6) 米ドルがユーロに対して下落したため、米ドルで取引されるブラジル産食肉のEU市場における競争力が高まったこと

2004年の牛肉、鶏肉輸出も増加見込み

 なお、2004年における食肉輸出の見込みについて、ブラジル牛肉輸出業協会(ABIEC)では、米国でのBSE発生が直ちに輸出増加につながるわけではないとしながらも、牛肉の輸出額は前年比15%増と見込んでいる。また、ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)では、アジアでの鳥インフルエンザ発生による影響で、鶏肉の輸出量は少なくとも同10%増と見込んでいる。


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