経済発展が続く上海             ● 中 国


中国の経済発展を牽引

 中国は1980年、広東省の深セン、珠海、福建省の汕頭、アモイの都市を「経済特別区」として設置し、100%外資企業の認可、税制面での優遇など外国資本進出をうながし、経済振興の起爆剤とした。さらに1984年は上海、天津、広州など14都市が「沿岸開放都市」とされ企業所得税の減免などが行われている。

 米農務省海外農業局(USDA/FAS)が2003年12月に公表した報告書によれば、中国の経済を牽引する中心的な都市は上海であると同時に現在も人口の増加などその周辺部をも巻き込みながら発展を続けているとされる。

経済成長の影にインフレやエネルギー不足

 上海の経済成長率は、2003上半期で前年同期比11.4%増の成長を記録していたが、観光業を中心としてSARSは少なからず影響を及ぼしている。2002年の上海市のGDPは6,544億米ドル(約70兆208億円、約1米ドル=107円)で前年比10.9%増となり、経済成長は加速し続けインフレの懸念も生じている(食品価格は2002年で2.9%増、2003年はさらに高騰すると報告されている)。上海の経済は自動車部品製造業や衣服製造業が中心となっているがそれら製品の製造コストも上昇している。また、近年では金融、銀行、保険業などが台頭し、加えて最もIT産業の進出が目覚しく、外国企業の中国進出の前線基地となっている。しかしながら、最近では急激な地域発展に伴うインフラの整備の立ち遅れが目立ち始め電力の供給不足などの問題が顕在化している。

食品市場は外資系が席巻

 上海は、家計収入が高くまた食品に支出する割合が高い。他の経済特別区と比較しても1人当たりの食品購入額は高額である。その特徴は他の経済特別区と比較し水産製品の購入額が3倍以上、乳製品の購入額が2倍以上となっている。また、上海の人々は輸入食品の購入も多い。このような背景から上海では食品産業が重要なものとなっており、2002年の食品の売上高は998億米ドル(約10兆6,786億円)となっている。また、小売形態は中国の大都市のそれであり外資系のハイパーマケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアを中心に2003年上半期は前年同期比30%以上も売上を伸ばしている。また、アウトレットショップの進出など新進気鋭の小売業も参入している。


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