●●●最近の経営環境の変化●●●
ニュージーランド(NZ)の酪農家戸数はついに13,000戸台を割り込んだ。NZ家畜改良公社(LIC)の酪農統計によると、2003/04年度の酪農家戸数は、前年度比3%減の12,751戸となった。74/75年度にLICが統計を取り始めて以降、NZの酪農家戸数はほぼ一貫として減少しており、今年度は30年前と比較して3割減となった。
一方で、酪農家の経営規模はこれとは対照的に拡大を続けている。2003/04年度の総飼養頭数は前年度比3.0%増の385万1千頭、1農家当たりの平均飼養頭数は同6.0%増の302頭となっており、30年前比でそれぞれ1.9倍、2.7倍に達している。
図1 生乳生産量と酪農戸数の推移
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資料:LIC |
●●●飛躍的な生産性の向上●●●
NZ酪農家の生産性も右肩上がりで上昇を続けている。土地生産性は歴史的にも高い水準にあり、2003/04年度のヘクタール当たり平均飼養頭数は2.8頭と20年前の3割増、ヘクタール当たりの平均生乳生産量(乳固形分ベース)は889キログラムと10年前の1.4倍に拡大している。
また、1頭当たりの生産性も、乳用牛の遺伝改良や農家経営の効率化などにより、向上している。1頭当たりの平均生乳生産量(乳固形分ベース)は、その年ごとの天候条件により多少の上下はあるものの長期的には上向いており、2003/04年度は前年度比2.2%増の322キログラムとなった。その結果、仕向けの大宗を占める加工向けでみると2003/04年度の生乳処理量は146億リットル、乳固形分換算で12億5千万キログラムとなり、前年度と比較して5.0%の増加となった。
●●●大規模農家へのシフト傾向●●●
酪農家規模の拡大は、規模別構成比の変化からも見て取れる。ここ数年間では、飼養規模200頭未満の酪農家戸数の構成比が縮小する一方、飼養規模350頭超の酪農家はその構成比は着実に伸ばしており、大規模農家へのシフトが顕著に表れている。
NZの酪農農家は、84年以降の自由化により厳しい国際競争にさらされる中、自ら経営規模を強化し国際競争力を身に付ける農家へと向かっているようだ。
図2 規模別構成比の変化
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資料:LIC |
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