2011年までの乳製品需給動向予測


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は2004年12月、2004〜2011年における欧州連合(EU)の主要農畜産物の需給に関する中期予測を公表した。これは、2004年7月に公表された中期予測に2004年10月末までに公表されたデータを基に最新版として発表したものである。

● ● ● チーズ生産量および消費量は増加 ● ● ●

 EUのチーズ生産量と消費量は過去20年間堅調に大きく増加した。生産量を1990年と2003年について比較すると約30%増加し、同じく1人当たりの消費量は平均年1.5%増加している。EUのチーズ生産量はドイツ、フランス、イタリア、オランダの4カ国でEU全体のチーズ生産量の75%を占めており、生乳供給量の40%が仕向けられていることになる。今後は世界経済の成長とともに輸出量は増加し、EU-25の1人当たりのチーズ消費量も新規加盟国(NMS)の所得の増加に伴う食生活の変化やチーズを原料とする加工食品市場の拡大により30%以上の増加に支えられ2003年の17.0キログラムから2011年の18.6キログラムへと増加するとされている。また、輸出量も共通農業政策(CAP)改革や国際競争によるEUチーズの価格低下やEUチーズのブランドイメージによる輸出需要の拡大により2003年の57万3千トンから2011年では61万1千トンに増加するとされている。

チーズの需給表
資料:欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」


● ● ● バター、脱脂粉乳の生産は減少 ● ● ●

 バターおよび脱脂粉乳の生産量はチーズなどの高付加価値製品の消費量が伸び生産量が増加する中、減少するとされている。2003年のCAP改革を受けて介入在庫の買入価格が削減されたことに伴い、バターや脱脂粉乳など介入買入の対象となっていた乳製品価格が低下した。2004年は生乳生産が減少し、バターや脱脂粉乳の生産が減少したため、2004年10月以降バターの介入買い入れは行われていない。NMSでの生乳はドイツをはじめEU−15カ国で高い需要が期待されるクリームの生産に向けられる。そのためNMSではバターの価格は加盟後の当初4カ月で10%増加した。EUではバターの生産量は引き続き低調な需要と低い介入価格のために減少するとされ、2004年の210万トンから2011年では183万トンへと減少するとされている。また、脱脂粉乳についても同117万トンから同92万トンに減少するとされる。

バターの需給予測
資料:欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」

 

脱脂粉乳の需給予測
資料:欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」

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