間接経費の物価上昇に直面する酪農家


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004年10〜12月期の農業物価指数 ● ● ●

 酪農家の2004年10〜12月期における農業物価指数は、農業生産資材指数(飼料価格など、農家が生産に対して支払う商品・サービス価格)が上昇する一方、農産物価格指数(生産者支払乳価など、農家が生産に対して受け取る商品・サービス価格)が横ばいとなり、酪農経営にとって厳しい結果となった。ニュージーランド統計局(StatsNZ)によると、2004年10〜12月期の投入物価指数は、1997年10〜12月期を1,000として、1,240と前年同期比2.6%の上昇となった。一方、産出物価指数は、1,140と前年同期比0.7%安とほぼ横ばいになっている。

 最近の物価推移を見ると、投入物価指数は2003年10月〜12月以降上昇傾向で推移しているのに対して、産出物価指数が2003年7月〜9月以降、伸び悩んでいる。

農業生産資材指数
注:97年10〜12月=1000
資料:ニュージーランド統計局調べ

 

農産物価格価指数
注:97年10〜12月=1000
資料:ニュージーランド統計局調べ

 

● ● ● 間接的な経費の物価高が農家の負担を増加 ● ● ●

 農業生産資材指数を項目別に見てみると、前年同期比でそれぞれ、家畜購入費物価が1.3%高、飼料費物価が0.9%安、肥料費物価が0.7%安など、直接的な経費の物価がほぼ安定的に推移する一方、管理費物価が3.6%高、運賃物価が4.5%高など、間接的な経費の物価が上昇している。また、最近の原油高を背景に、燃料費物価が前年同期比17.7%高と急騰しており、酪農家の負担を増加させている。労賃も前年同期比0.9%高、前々年同期比3.8%高と上昇傾向にある。

 

● ● ● 生産者支払乳価の引き上げは酪農家にとって朗報 ● ● ●

 コスト高の一方、昨年度から続く異常気象の影響で、最近の生乳生産水準は低迷が続いており、農家収入にも悪影響が出始めている。こうした中、主要な乳業メーカーであるフォンテラ社がこのほど、生産者支払乳価を20NZセント(約16円、1NZドル=78円)引き上げ、乳固形分1キログラム当たり4.50NZドル(約351円)に改定したことで、コスト高に苦しむ酪農家に良い知らせをもたらした。

 フォンテラによると、今回の引き上げはおう盛な需要に支えられて記録的な高水準が続く乳製品の国際価格を反映したものであり、また、前回価格改定時の2004年12月と比べて、販売がさらに伸びたことから、年度内の利益確保に自信を持てたことを要因として挙げている。

 しかし、来年度については、さらなる米ドル安NZドル高の進展が予想され、現在の収益水準を維持するのは困難であるとみられていることから、乳価の引き下げが予測されるとしている。


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