2005年年初の生乳価格は依然堅調


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生乳は前年比13.2%高、バターは5.8%安 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2005年2月の生乳農家販売価格(飲用向け乳価と加工原料乳価の加重平均)は前年同月に比べて13.2%高の100ポンド当たり15.4ドル(1キログラム当たり36円:1ドル=106円)となった。生乳価格は、2003年7月以降連続して前年同月を上回って推移し、特に2004年第2四半期では前年同期を大幅に上回っていたものの、8月以降は前年比増加幅も縮小傾向にあり、2005年では下降基調で推移するものと見込まれている。

 また、同月の乳製品卸売価格をみると、バターが前年同期比5.8%安の1ポンド当たり161.5セント(1キログラム当たり377円)と2003年4月以来22カ月ぶりに前年同月を下回った。一方、チーズは同48.6%高の同205.9セント(同481円)と、国内の強い需要に支えられ依然として高値で推移している。

 

● ● ● 更新用乳牛の供給は増加傾向 ● ● ●

 生乳価格の前年比増加幅の縮小傾向は、生乳の供給増によるところが大きい。USDAによると、生乳生産量は2004年7月以降連続で前年同月を上回り、2004年全体では前年比0.3%増の7,747万5千トンと過去最高となった前年を上回るものとなった。

 乳用牛の飼養頭数をみると、2005年1月1日時点における乳用経産牛は前年比0.2%増の900万5千頭と前年とほぼ同水準であったものの、乳用更新用未経産牛は同2.8%増の413万頭となった。USDAによると、カナダからの生体牛の輸入停止措置が長期化しているものの、2005年には乳用経産牛の3割以上の更新も見込まれている。

 また、USDAによると、乳用未経産牛の供給の増加はその取引価格に影響を及ぼし、2005年1月の乳用未経産牛の平均価格は前年同月に比べて依然200ドル(21,200円)程度上回っているものの、生乳価格が最も高値で推移した2004年第2四半期に比べて100ドル(10,600円)程度安の1,620ドル/頭(17万円)程度となったとしている。さらに、今後乳用未経産牛の価格については、依然根強い需要を受けながら2005年全体を通じて高値で推移するものと見込まれている。

 

● ● ● 2004年乳製品需要は軒並み増加 ● ● ●

 近年、生乳生産が安定的に推移する要因の一つとして国内の乳製品需要の拡大が挙げられる。2003年の主要乳製品の消費量をみると、生乳の5割近くが仕向けられるチーズで、チェダーチーズに代表されるアメリカンタイプが前年比2.5%増の172万5千トン、モッツアレラチーズに代表されるイタリアンタイプなどその他のものが同3.2%増の250万トンで、チーズ全体では同2.9%増の422万5千トンとなった。また、バター、脱脂粉乳は、それぞれ同1.1%増の600万トン、同13.3%増の418万トンと2004年の乳製品消費量は軒並み増加した。

乳製品の品目別消費量の推移
資料:USDA/ERS「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」

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