EU、ヤギでのBSE発見を踏まえヤギの検査を拡充


ヤギにもBSEが存在、検査を拡充

 EUにおける伝達性海綿状脳症(TSE)の参照研究所(CRL)の専門家パネルは1月28日、2002年にフランスにおいて発見された通常のスクレイピーとは異なる型のTSEに罹患したことが疑われるヤギから得られた検体が、BSEの系統(strain)を含んでいると結論付けた。

 欧州委員会は2月2日、BSEと確認されたこのヤギが特別な事例であるかどうか、新たな対策を実施する必要があるのかを確認するために、今後6カ月間、各加盟国におけるヤギの飼養頭数と牛のBSEの発生状況に応じ検査対象を拡大することをフードチェーン・家畜衛生常設委員会に提案し、同常設委員会は承認した。このことにより、2002年4月から2004年末までの2年9カ月間に14万頭以上のヤギについて実施してきた検査は、今後6カ月間で約20万頭を目途に拡大して実施されることとなった。

 なお、欧州委員会は、今回の事例が発見されたのは、現在実施されているEUの検査体制のおかげであり、検査の実施により疑いのある家畜やその家畜が含まれていた群全体をフードチェーンから取り除くことができたと説明するとともに、フィードバンや特定危険部位(SRM)の除去などの現行の措置により、消費者の安全は確保されており、ヤギの肉、乳、チーズなどについてはこれまでどおり食しても大丈夫であると説明している。

 

OIE、3月に専門家会議を開催

 国際獣疫事務局(OIE)は2月1日、このヤギにおけるBSEの発見に関連したプレスリリースを公表しており、OIEは、BSEに関連するすべての出来事について注視を続けており、今回のケースを完全に理解することの重要性を認識しているとしている。

 また、この中で、本年3月17および18日に、フランスのパリにあるOIE本部において、国際的に高名なBSEの専門家による会議を開催し、BSEの表現型の存在の可能性、ヤギにおけるBSEの状況、ヤギにおいてBSEが存在することの公衆衛生に対する影響などについて議論することとしていると説明している。さらに、このような新しい状況に対処するために、OIEとしてBSEおよびスクレイピーに関する対応方法の国際基準を変更する必要があるのかどうかについても議論することとしている。なお、3月の会議の結果は、本年5月に予定されているOIE総会において、全加盟国により議論する予定であるとしている。

 

EFSAヤギ肉などの安全性評価を公表

 欧州食品安全機関(EFSA)の生物学的危険に関するパネルは1月28日、「BSE/TSEに関するヤギ肉およびヤギ肉製品の消費に係る安全性の評価についての声明」を公表した。この中で、同パネルは、これまでに出されてきたヤギ製品の安全性に関する助言や、現行の小型反すう家畜に係る対策については、今でも有効であるとしている。

 しかしながら、ヤギ肉やヤギ肉製品の消費に伴うBSEについての定量的リスクアセスメント(リスク評価の数値化)のためには、さらに多くの情報が必要であるとしている。また、欧州委員会が提案している対象頭数を拡大したヤギにおけるサーベイランスなどの実施により、ヤギにおけるBSEを疑う個体の分布状況などの情報を得ることができること、また、このようにして関連する情報が確保されれば、本年7月には、ヤギ肉などの定量的リスクアセスメントについての結論が出されると期待している。


元のページに戻る