ブラジル農林水産部門、2004年の貿易黒字を支える


農林水産部門の輸出額、記録更新

 ブラジル農務省(MAPA)生産商業局(SPC)は1月6日、「390億1,600万ドルという過去最高の輸出額を記録」と題した2004年の農林水産部門に係る貿易収支(速報値)を発表した。

 輸出が増加した主な要因として、(1)世界経済の成長に伴う需要の増加および価格の上昇、(2) 畜産物の主要輸出国における家畜衛生問題がもたらしたブラジル産製品への需要の高まり、(3) 新規市場の開拓による販路の拡大−を挙げている。

 また、農林水産部門における貿易収支も過去最高の黒字を記録し、国家貿易収支の改善に貢献したとしている。農林水産部門の輸出額は、前年比27.3%増の390億1,570万ドル、輸入額が同1.9%増の48億8,077万ドルで、収支は同32.1%増の341億3,493万ドルの黒字となっている。輸出額は、ブラジル全体の輸出額964億7,522万ドルの40.4%を占め、また全体の貿易黒字が336億9,342万ドルとなっていることから、農林水産部門が2004年の貿易黒字を生み出したことになる。

 

大豆や食肉などの上位4部門で輸出額の6割を占める

 農林水産部門のほとんどの品目において輸出額の増加を見たが、中でも

(1) 大豆および副産物(対前年23.7%増の100億4,789万ドル)、

(2) 食肉類(同50.4%増の61億4,384万ドル)、

(3) 木材およびその製品(同44.3%増の37億8,130万ドル)、

(4) 砂糖およびアルコール(同36.6%増の31億3,797万ドル)

の上位4部門で輸出額の59.2%を占めている。

 

牛肉の輸出額が大きく増加

 食肉の輸出は、主要市場であるロシアがブラジルに対して不利となる輸入割当を設定したり、2004年9月にはブラジル北部のアマゾナス州で発生した口蹄疫を理由に鶏肉をも含めたブラジル産食肉の輸入を停止した問題があったものの、米国におけるBSEの発生、アジア諸国や北米における鳥インフルエンザが発生したため、牛肉および鶏肉の数少ない供給国であるブラジルに対する需要が急増した。

 開発商工省貿易局(SECEX)からの公表データによれば、主要食肉類(牛肉・豚肉・鶏肉の生鮮、牛肉・鶏肉の加工)の輸出額は前年の38億4,374万ドルを51.1%上回る 58億623万ドルに達し、中でも生鮮牛肉の輸出量は同62万トンを49.2%上回る92万5千トン(製品重量ベース)、輸出額は同11億5,451万ドルを70.0%上回る 19億6,307万ドルと、食肉の中で最高の増加率を示した。また、ロシア、エジプト、チリが三大市場であり3カ国で輸出量の40.1%を占めているが、輸出額は30.6%となっている。

 生鮮鶏肉の輸出量は、前年の192万2千トンを26.1%上回る242万5千トン、輸出額は同17億974万ドルを45.9%上回る24億9,393万ドルとなった。なお丸どりはサウジアラビア、(29万3千トン)が、またパーツは日本(31万9千トン)が最大の市場となっており、特に日本にはパーツを前年の17万9千トンを78.3%も上回って輸出している。

 輸出量の約6割がロシアに集中している生鮮豚肉は、前年の45万8千トンとほぼ同等の 47万1千トンを輸出したが、輸出額は同5億2,658万ドルを41.3%上回る7億4,428万ドルとなっている(鶏肉の需給情報については、本誌46〜47ページを参照)。

 なお鶏肉・豚肉の輸出額の増加率が、輸出量のそれより大きいことについて輸出業者の団体は、「需給関係の他にカットを施したなどの高付加価値製品の増加も要因となっている」と分析している。

 

2005年には中国への輸出を期待

 中国の技術ミッションは1月17〜27日、ブラジル産牛肉および鶏肉の輸入に係る衛生条件の交渉や食肉処理施設の確認などのため訪問していた。この期間中、衛生証明書に係る交渉を実施し、ゴイアス州やパラナ州などの農場や食肉処理施設などを検査した。これは2004年11月に中国の胡錦涛国家主席がブラジルを訪問した折、2国間で結ばれたプロトコールに基づき実施されており、2005年の輸出に向け期待が高まっている。


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