NZフォンテラの2004/05年度上半期決算


上半期の売上高は、国際価格の高騰で2%増

 ニュージーランド(NZ)の大手乳業会社フォンテラは1月27日、2004/05年度の中間決算(6月−11月)を発表した。それによると、天候不良により生乳生産が減少したため、乳製品販売量は減少したものの、強い需要を背景とした乳製品国際価格の高騰を受けて、上半期の売上高は、前年同期比2%増の57億NZドル(4,446億円、1NZドル=78円)となった。また、最終損益では、前年同期よりも100万NZドル(7,800万円)減少し、1,500万NZドル(11億7千万円)の黒字となった。

 

天候不良で生乳生産量は5%減少

 2004/05年度の上半期の生乳生産量は、春から夏にかけての冷涼な気候が大きく影響を及ぼし、当初見込みを5%下回る結果となった。

 これにより、上半期の乳製品生産量は当初見込みより減少し、販売量も減少した。下半期は生乳生産量の改善が見込まれるものの、2004/05年度全体では、乳製品の生産量は前年度より7万5千トン減少すると予測している。

 最終損益で黒字となったのは、豪州やEU、米国などの生乳生産量の減少による乳製品国際価格の高騰が売上高を増加させ、生乳生産量の減少とともに、もう一つの懸念材料であるNZドル高をも相殺した形になったことによる。

 売上高が増加した結果、2004/05年度の生産者支払乳価(暫定)は昨年度から0.7NZドル上昇して乳固形分1キログラム当たり4.50NZドル(351円)とする見込みである。これにより、生乳生産者は懸念された収入の減少を免れ、昨年度並みの収入を確保できるとみている。

◎乳価の推移
(乳固形分1kg当たり、単位;NZドル)


NZでの生乳生産量の減少には世界戦略で対処

 フォンテラでは2001年の設立以来、生乳処理量が順調に拡大してきていたが、2004/05年度は、上半期の減少分を下半期で取り戻すことはできないとみている。ただし、フォンテラでは、原料供給先を多角化するという戦略があり「NZでの生乳生産量は減少したが、フォンテラの世界戦略の中で、残りの半年間で顧客の要求にこたえていく」と述べ、米国や南米、豪州、欧州のパートナーシップを結んでいる関連企業からの乳製品供給を受けバランスをとる方針である。

 一方、財務面では、総資産に占める負債の割合(46.4%)はやや増加したものの、資産の額や有利子負債の額は年度当初と比べ大きな変化はない。

 現在の経営状況についてフォンテラでは、「現在われわれのビジネスを左右しているのは、乳製品の国際価格、為替相場、気象状況。これらは、われわれが左右できるものではない。われわれが実施可能なことでもっとも効果的なものは、経費節減」と述べ、2003/04年度に効果を挙げた経営の合理化努力を引き続き実施していくとしている。現在、フォンテラは国内に25、海外に35の乳業工場を所有し、世界140カ国に販売している。主な販売先は、粉乳はアジア、チーズは日本や米国、バターはEU、カゼインは米国がとなっている。

 

ナショナル・フーズ買収にサンミゲル名乗り、長期戦の様相

 フォンテラの海外戦略の一つとして進めている豪州の大手乳業会社ナショナル・フーズの買収計画に対し、フィリピンの大手飲料会社サンミゲルは1月24日、正式に買収申し込みを行った。ナショナル・フーズの役員会は、株主に対し、フォンテラの買収価格を上回るサンミゲルの申し入れを受け入れるよう促していた。しかし、3月2日、フォンテラ側が買収価格を引き上げたことからナショナル・フーズもフォンテラ支持へと態度を変化させ、慌てたサンミゲルは、フォンテラの情報開示に不備があるとの訴えを3月7日、買収委員会に提出している。サンミゲルは近く買収価格を引き上げると見られており、豪州乳業会社をめぐる買収劇は長期戦の様相を呈してきた。フォンテラはナショナル・フーズを通じて、豪州での飲用市場やヨーグルト市場に進出したい意向を持っている。


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