豪州・NZ、ASEANとFTA交渉開始


2年以内の締結を目標

 豪州連邦政府のベール貿易相は2月21日、豪州・ニュージーランド(NZ)と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国との自由貿易協定(FTA)交渉の第1回会合が同日から豪州のメルボルンで開始したことを発表した。次官クラスによる今回の会合では、2年以内の締結に向けた道筋を決める予定である。

 豪州・NZとASEAN諸国との間では、昨年11月にラオスで開催されたASEAN首脳会議の席に両国首相が招かれた際、ASEANに対する経済協力とともに2005年からFTA交渉を開始し、10年以内に商品、サービス、投資などの分野で完全施行することで枠組み合意していた。

 豪州・NZの両国は、両国経済の一端を担う農畜産業など主要産品の輸出拡大を目差して、各国と積極的なFTA交渉を進めている。豪州はすでに米国やASEANの一員であるシンガポール、タイとFTAを締結させており、現在、マレーシアとの間で交渉開始に向けた共同研究会を発足させている。一方、NZも、ASEANと密接な関係を持つ中国などとの交渉を進めている。

 

酪農業界からも歓迎の声

 ベール貿易相は今回の協議について、豪州・NZ両国と東南アジア諸国とが、長期にわたり貿易及び経済協力を強化するための重要なステップになるものと位置付けている。また、同貿易相は「5億人を超えるASEAN諸国の人口と国内総生産(GDP)換算にして合計で7千億米ドル(約:74兆2千億円:1米ドル=106円)の市場規模、世界平均を上回ることが予測される経済成長率のいずれもが、豪州にとって魅力的な商業機会を与えてくれる」と述べ、ASEAN10カ国が豪州にもたらすと予想される17億豪ドル(約1,445億円:1豪ドル=85円)の市場獲得に向けて交渉の早期締結に期待を示している。

 一方、産業界からも今回の協議開始について歓迎の声明が出ている。NZの大手乳業会社フォンテラは、ASEANとのFTAは、豪州・NZの酪農業界にとって大きな利益につながるとし、交渉を全面的に支持する考えを示した。同社では、現在、生産量全体の7%程度となっているFTAによる乳製品輸出について、今後、10%以上に高めたいとの考えを示し交渉の行方に注目している。


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