2005/06年度は干ばつの影響と米国産牛肉との競合再開に


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005/06年度のと畜頭数は前年度比2.2%増 ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月、四半期ごとの農産品需給予測を公表した。それによると、2005/06年度のと畜頭数は910万頭と前年比2.2%の増加が見込まれている。ABAREでは、2005/06年度前半の状況について、干ばつの影響と高値で推移する肉牛価格、また、穀物価格の上昇などを背景に、と畜頭数の増加に拍車がかかるとしている。一方、年度後半にかけては、干ばつが改善に向かうと仮定した上で、生産者の牛群再構築が始まり、と畜頭数は一転減少に向かうとしている。しかし、上半期のと畜頭数増加が影響し、年度を通 してみれば肉用牛飼養頭数は前年度を下回り、前年度比1.7%減の2,380万頭を見込んでいる。

● ● ● 2005/06年度の生産者販売価格、対日輸出価格はともに下落 ● ● ●

 と畜頭数の増加を受けて、家畜市場の取引価格は下落が予想されている。ABAREによれば、2005/06年度の平均家畜市場取引価格は前年度比で9.2%安のキログラム当たり2.85豪ドル(245円:1豪ドル=86円)としている。価格下落の要因としてABAREは、2005/06年度も引き続き豪州東部と南オーストラリア州を中心とした干ばつにより国内向けおよび輸出向けの供給量が増えること、さらに日本における米国産牛肉の輸入再開による影響を挙げている。

 このような中、対日輸出価格も日本における米国産牛肉輸入再開の影響で下落が見込まれる。ABAREでは、2006年初めまでに輸入が再開されるという仮定の下、2005/06年度の対日価格を前年度の1キログラム当たり4.52米ドル(506円:1米ドル=112円)から11.9%安の同3.98米ドル(446円)と予想しており、日本で米国産牛肉の輸入が再開された場合、 豪州産牛肉は最終的に豪州国内市場へと向うことから、生産者販売価格はさらに下落すると分析している。

 

● ● ● 2005/06年度の輸出額は大幅な減少へ ● ● ● ●

 豪州産牛肉の輸出額も、輸出数量の減少と輸出価格の下落を背景に減少が見込まれている。ABAREによれば、2005/06年度の牛肉輸出額は前年度比10.7%減の40億5,500万豪ドル(3,487億円)と予想している。2005/06年度前半にかけては、干ばつの影響で生産者は出荷を積極的に進めるが、年度後半に入り、日本における米国産牛肉の輸入再開により米国が対日輸出 市場に復帰することから、豪州産牛肉の対日輸出量は減少し、最終的には全体で同1.6%減の93万5千トンまで落ち込むとみている。この結果、輸出価格の下落も相まって、年度全体の輸出額は大幅に減少が見込まれている。

 

牛肉の需給予測
注1:船積ベース
2:2004/05年度は概算値、2005/06年度は予測値。

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