EU15カ国の牛肉生産量、2006年も減少傾向が続く見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年は前年比0.8%減少の予測● ● ● ●

 欧州委員会はこのほど、2006年までのEU15カ国の牛肉生産予測を公表した。これによると、2006年の牛肉生産量は前年比0.8%減の719万トンとわずかに減少する見込みである。2005年の牛肉生産量も前年比2.5%減の725万トンと減少が見込まれており、減少幅は次第に小さくなっているものの、域内における96年以降の牛飼養頭数の減少傾向が続くことを示すものとなっている。

 

● ● ● 2カ国以外は軒並み減少 ● ● ●

 2006年の牛肉生産予測を国別に見ると、域内で最も牛肉生産が多いフランスが前年比0.1%増の158万トン、アイルランドが同3.0%増の55万トンと増加する以外は、前年同となる2カ国を除いて軒並み前年を下回る見込みである。また、フランスに次ぐ第2位のドイツは同2.4%減の115万トン、第3位のイタリアは前年同の114万トンとなっている。なお、これら上位3カ国で全体の54%を占める構造となっている。

 

● ● ● イギリスのOTMS廃止が牛肉生産に影響 ● ● ●

 BSEの大規模な発生で肉牛産業が甚大な被害を受けたイギリスは現在、30カ月齢以上の牛のと畜処分対策(OTMS:Over Thirty Month Scheme)を行っているが、イギリス食品基準機構(FSA)や欧州食品安全機関(EFSA)の意見を受け、イギリスはOTMS廃止の準備段階に入っている。欧州委員会は、2005年中にOTMSが廃止されれば、2006年の牛肉生産量は17万トン増加し、予測より2.4%多い736万トンが見込まれるとしている。

 

● ● ● 深刻な干ばつも懸念材料に ● ● ●

 また、現在、フランス、スペインやポルトガルなど欧州西部を過去数十年で最も深刻と言われる干ばつが襲っており、家畜や牧草、穀物生産などへの影響が懸念されている。フランスは穀物生産農家などに対する給水制限を6月下旬から10月中旬まで行うとしており、今後の天候次第では域内の牛肉生産がさらに落ち込むことも予想される。

EUの牛肉生産量の推移
(単位:千トン)
資料:欧州委員会、ZMP、各国統計局

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