記録的な高水準で推移する牛肉小売価格


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 5月の牛肉小売価格は前年同月比5.1%高 ● ● ●

  米国農務省(USDA)によると、牛肉小売価格(チョイス級平均)は2002年12月以降ほぼ前年同月を上回って推移しており、2005年5月はポンド当たり4.261ドル(キログラム当たり1,052円:1ドル=112円)と前年同月比5.1%高となった。これは、本格的なバーベキューシーズン到来に加え、と畜頭数の減少に伴う生産量の減少を反映したもので、2003年11月に記録したポンド当たり4.317ドル(1,066円)に次ぐ史上2番目の高値となった。

 2003年11月の高値の要因は、国内生産量の減少に加えて、5月のカナダにおけるBSE発生に伴う生体牛などの輸入停止措置が採られた影響によるものである。30カ月齢未満の牛由来の牛肉などの輸入再開により、牛肉輸入量は増加したが、小売価格の下落幅はわずかなものにとどまった。その後、12月23日の米国におけるBSE発生から、小売価格は2004年2、3月にポンド当たり4ドルを一時的に下回ったものの、その後4ドル台に回復し、依然高水準で推移している。

牛肉小売価格の対比(チョイス平均)
資料:USDA/ERS「Livestock,Dairy and Poultry Outlook」
参照:資料18ページ「オ 肉牛と牛肉の価格」


● ● ● そのほかの食肉との価格差が拡大 ● ● ●

  牛肉の小売価格が高水準で推移する中、そのほかの食肉との小売価格との格差が拡大している。牛肉の小売価格(チョイス級平均)を100とした場合、2001、2002年は豚肉が80前後、ブロイラーが60前後であったが、カナダでBSEが発生した2003年には、豚肉が同71.0、ブロイラーが同60.5となった。また、2004年は、豚肉が同68.7、ブロイラーが同59.4となり、その格差はさらに拡大している。この傾向は2005年に入っても続いており、2005年5月は豚が同67.9、ブロイラー同60.6となっている。このことから、豚肉、ブロイラーへの牛肉からの代替需要がさらに強まることが見込まれる。

牛肉と豚肉、ブロイラーの小売価格の推移(牛肉=100)
資料:USDA/ERS「Livestock,Dairy and Poultry Outlook」
注:牛肉はチョイス級平均、豚肉は平均、ブロイラーは構成の小売価格である。
参照:資料18ページ「オ 肉牛と牛肉の価格」、31ページ「エ 肉豚と豚肉の価格」他


● ● ● 2005年第3四半期は季節的要因で生産が増加の見込み ● ● ●

  USDAによると、連邦地裁によるカナダ産生体牛の輸入再開差し止め命令による不確定要因はあるものの、2005年第3四半期の牛肉生産量は季節的な要因から増加すると見込んでいる。全米のフィードロット飼養頭数(飼養能力が1,000頭以上規模)は、6月が1,076万9千頭と前年同月を1.2%上回り、13カ月連続で前年同月を上回った。経産牛のと畜頭数は依然として低水準であるものの、フィードロットから出荷される肥育牛の1頭当たり枝肉重量は季節的要因から増加が見込まれている。さらにカナダからの生体牛の輸入再開が期待されることから、2005年第3四半期の牛肉生産量は前年同期を8%上回るものと見込んでいる。

食肉の年平均小売価格の推移
(単位:セント/ポンド)
資料:USDA「Livestock,Dairy and Poultry」
注:牛肉はチョイス級平均、豚肉は平均、ブロイラーは構成の小売価格である。

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