鶏肉生産量は徐々に回復


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産量は低調ながら徐々に回復 ● ● ●

 タイ農業協同組合省によると、3月のブロイラー生産量は5千8百万羽と、昨年1月以来14か月ぶりに前年同月の水準を上回った。グランドペアレントストック(GP)の輸入は2004年初めの鳥インフルエンザ発生確認以来、同年7月実績である6万7千羽に次ぐ高水準の4万2千羽となっている。3月のペアレントストック(PS)の輸入は前年同期比67%の12万4千羽となっている。

 ブロイラー用初生ひなのふ化羽数は、生産量同様に昨年1月以来初めて前年同月の水準を上回る6千万羽となり、生産が徐々に回復していることを示している。

ひなのふ化羽数と価格の推移
資料:タイ農業協同組合省農業経済局

● ● ● 調製品輸出の好調などで価格は上昇 ● ● ●

 このように生産量が回復する一方、昨年11月に最低水準に落ち込んだブロイラー価格もその後上昇傾向で推移している。

 バンコク市場の生体卸売価格は年明け後安定的に推移し、3月現在生体1キログラム当たり30.7バーツ(83円:1バーツ=2.7円)となっている。また小売価格は昨年11月から2月まで増加したものの3月は減少して同53.4バーツ(144円)となった。このように国内仕向け品の価格動向が安定的な推移を見せている一方、生産者販売価格は上昇を続けており、3月には前年同期比43%増の35.6バーツ(96円)となった。これは、海外からの鶏肉調製品需要の拡大に加えて、国際原油価格上昇に伴い輸送費や燃料費および諸経費が上昇したことなどが可能性として挙げられる。

生産者販売価格の推移
資料:タイ商務省

 

● ● ● 輸入国による実態調査始まる ● ● ●

 5月に開催されたOIE(国際獣疫事務局)の総会で、EUや日本など主要輸入国がコンパートメンタリゼーションの鳥インフルエンザ・コードへの適用に際しては慎重な検討が必要であると主張し、コンパートメントにおけるバイオセキュリティ措置の具体的内容や個体識別方法、サーベイランスのあり方や獣医当局の役割などが検討課題とされた。これを受けて6月以降、EUやロシアなどでは、獣医検査官をタイの家畜疾病検査施設などに派遣して、将来的なコンパートメント確定を想定した基礎情報収集を開始するとしている。タイは基本的にコンパートメントの確定に賛成の立場であり、輸出国にこの実証が義務付けられることから、今後の獣医当局の機能向上について意欲を示している。

 農業協同組合省とタイブロイラー輸出加工協会の観測によると、2005年のブロイラー輸出は特定承認工場からの加熱加工品を中心に35万トン程度と見込まれている。現在、日本が承認している加工場は48施設となっており、同様にEUが46施設、韓国が26施設を承認している。


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