2005/06年度の生乳生産、干ばつの影響が残り前年並みと予測


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005/06年度の生乳生産は前年度並み ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月、四半期ごとの農産品需給予測を公表した。それによると、2005/06年度の生乳生産量は前年度比で0.1%増の1,006万5千トンと前年度並みの水準で推移すると予測している。放牧が中心となる豪州の酪農は、牧草の生育状況が生乳生産を左右し、また、乳用経産牛飼養頭数増減の大きな要因となる。2002/03年度に発生した全国的な干ばつの影響により、生乳生産量は伸び悩んでいる。2005/06年度についても主要な生乳生産地帯となる豪州東部地域および南オーストラリア州で引き続き降雨不足が予測されることから、豪州全体の生乳生産の大きな増加は期待できないとしている。また、このような状況下では、降雨不足による牧草生育状況の悪化から、2005/06年度は特に東部地域のニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州において穀物飼料への依存度が増すものとみられ、その結果、生産コストの上昇が生産者乳価の上昇分を相殺し、農家の収益を圧迫すると懸念している。

 

● ● ● 2005/06年度の乳製品生産はチーズ、全粉乳に集中 ● ● ●

  乳製品生産について、2005/06年度は引き続き、需要が強いチーズや全粉乳への傾斜が続くことが見込まれる。ABAREによれば、2005/06年度のチーズ生産量は前年度比2.1%増の38万1千トン、全粉乳が同2.3%増の18万1千トンであるのに対し、バターは同2.2%減の8万7千トン、脱脂粉乳が同2.6%減の18万9千トンとしている。これについてABAREでは、チーズおよび全粉乳への集中は、生乳生産が限られる中で、乳製品ごとの価格上昇率に格差があることが要因であると分析している。

 豪州の乳製品在庫は、高騰が続く乳製品国際価格の影響で品薄状態にあり、2005/06年度の乳製品供給も引き続きひっ迫が続くものと見られている。

 

● ● ● 2005/06年度の乳製品国際価格は上昇が続く ● ● ●

  乳製品国際価格については2005/06年度も引き続き上昇が見込まれる。ABAREによれば、2005/06年度の乳製品国際価格(トン当たり)は、チーズが前年度比1.2%高の2,894米ドル(32万4千円:1米ドル=112円)、バターが同0.9%高の2,260米ドル(25万3千円)、脱脂粉乳が同0.4%高の2,220米ドル(24万9千円)と予測している。価格上昇の要因についてABAREでは、消費量の伸び率が鈍化するにもかかわらず生乳の生産が伸び悩み、主要輸出国である豪州、ニュージーランド、EUの供給もひっ迫が続くことを挙げている。品目別では、チーズの消費拡大が予測され、特に日本とロシアの需要が2005/06年度の輸出をけん引すると見込んでいる。

表1 生乳生産などの需給予測
注:2004/05年度は見込み、2005/06年度は予測。



表2 国際価格の需給予測
(単位:米ドル/トン)
注:2004/05年度は見込み、2005/06年度は予測。

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