NZ、牛肉需給の中期予測を見直し


牛肉生産・輸出量の減少見込みを上方修正

 ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)は先ごろ、2004年12月に行った2007/08年度(10〜9月)までの中期牛肉需給予測に関し、それ以降の変化を取り入れた見直しを発表した。アジア各国での米国産牛肉の輸入停止が長引く一方で、NZの牛肉生産・輸出量はどのように変化するのかが注目されていた。今回の予測見直しでは、肉牛から羊への生産転換など飼養頭数の減少が見込まれる中で、国際的な乳製品需要の高まりを背景とした酪農部門の拡大に伴う乳用経産牛の安定出荷が期待できることなどから、中期的な牛肉生産は当初予測より落ち込み幅が縮小するとみている。また、為替の改善が輸出面に好影響を与えるとしている。

 牛肉生産、輸出に関する予測見直しの概要は次のとおり。


・牛肉生産量
 肉牛の飼養頭数をみると、2004年6月末時点の飼養頭数は前年度比3%増の463万頭、2008年6月末時点では410万頭と、12月予測よりそれぞれ1万頭程度下方修正となっている。

 一方、牛肉の生産量(子牛肉を含む)については、2004/05年度が前年度比8.4%増の71万トンと変わらず、2007/08年度の生産量については、当初予想の57万2千トンから66万7千トンに上昇し、2004/05年度比では6%の減少にとどまるとみている。

 MAFでは肉牛飼養頭数減少の要因として、牛肉価格に対してラム価格の堅調な推移が予測されることから、農家は肉牛から羊へと生産転換を図るためとしている。一方、肉牛の飼養頭数の減少に反して牛肉生産が当初予測より小幅な減少にとどまることについては、堅調な乳製品の国際価格を背景に酪農部門の拡大が予測され、乳用経産牛を中心に食肉部門への一定量の出荷が期待できることを要因としている。


・牛肉輸出量
 牛肉の輸出量(子牛肉を含む)については、アジア各国での米国産牛肉の輸入停止に伴う新たな牛肉需要を背景に、2004/05年度は61万1千トンと前年度比12%を超える伸びが見込まれているが、2007/08年度は2004/05年度比7%減の56万5千トンとしている。

 MAFでは、当初、2007/08年度の牛肉輸出数量について、45万3千トンと2004/05年度比で25%以上の大幅な減少を予測していたが、NZの牛肉輸出の半数近くを占める米国市場での相場が予想以上に上昇していること、また、輸出動向を大きく左右する為替について、今後、NZドルに対して米ドル高での推移が予測されることから、これら要因が牛肉輸出に好影響を与えるとし、輸出量の上方修正を行った。

 

2004/2005年度実績、前年水準を上回って推移

 NZの食肉生産者団体であるミート&ウールニュージーランド(MWNZL)が先ごろ発表した2004/05年度上半期(10〜3月)の牛肉輸出実績によると、総輸出量は17万7千トンと米国向け(全体の約48%)を中心に前年水準を上回って推移している。また、同期間の対日輸出量は前年同期比28%増の1万7,890トンと輸出量全体では約10%を占めている。


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