ベトナム・ホーチミン市周辺の酪農




ひとくちMemo

 ベトナムでは2001年以降国家計画の中で酪農振興を規定し、大消費地であり550万人の人口を擁する南部ホーチミン市周辺などで比較的大規模な酪農家が育ちつつある。しかし彼らの多くは以前に肉牛等の飼養に携わっていた者が多いとはいえ、酪農経験が10年未満と浅い。今後は生産現場の急速な発展・規模拡大と併せて、生乳を受け入れる乳業工場やコールドチェーンの確保を初めとするインフラ整備などと足並みの揃ったバランスの良い発展が期待されている。



中規模経営の事例



鉄骨製フリーストール牛舎。この牧場では、ホルスタインを中心に一部純粋種を飼養。大半は交雑F1〜F3で総頭数は125頭。

粗飼料として一般的に使用される稲わら貯蔵風景


採草地。電動ポンプによる灌漑設備をもつ



農業副産物として、ピーナッツ穀(粗たんぱく質(CP)含有率7〜8%)やパイナップルの茎葉(CP8〜8.5%)、バガス(パイナップルの搾かす:CP1.5%)などの利用が盛んに行われている。

四頭立てミルキングパーラーと
バケットミルカー


ビールかすや発酵飼料添加剤の使用などによる秘乳量増加を目的とした消化器内細菌調整への試みは盛んに行われており、一般的に輸入製品をはじめとする各種飼料添加剤に関する農家の関心は高い。


かなりの頻度で牛床の洗浄を行っている。滑り止めのゴムマットは経営の大小にかかわらず多くの農家で見られる。


先進的な経営ではスプリンクラーやミスト式ファンによる冷却システムを装備する。
種雌牛台帳。種付け・出産記録や個体識別情報が記入される。


この手の機械設備はその多くが韓国製である


粗飼料の刈り取り・裁断は全て手作業。労賃が安いので人海戦術がもっとも効率的
集乳缶による出荷を行う農場が大多数を占める


汚水貯留用のラグーン


泌乳量記録台帳。搾乳牛は41頭で平均乳量は15リットル/頭。


小規模経営の事例  




移動式ミルカー
工業団地や住宅地に隣接し零細規模ではあるが酪農を行う農家が近年増加している。


粗飼料の植栽は牛舎周辺にごくわずかに見られる程度の経営が多く、多くは稲わらを中心とした農業副産物を購入している。



粗飼料は青草のまま給与することが多い

ホーチミン近郊で酪農が盛んなここクチ地区では平均的に10〜20頭を飼養。うち搾乳牛はおよそ全頭数の1/3、1日2回搾乳で平均乳量は15リットル 。共進会(前回は2001年)受賞牛クラスになると血量7/8で20リットルに達する場合もある。
小規模農家の牛舎  
ホーチミン市内の雑踏
街角に見られる粉乳製品の小売風景


シンガポール事務所 木田 秀一郎、斎藤孝宏


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