2011年までの牛肉(子牛を含む)需給動向予測


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は2004年12月、2004〜2011年における欧州連合(EU)の主要農畜産物の需給に関する中期予測を公表した。

● ● ● 2011年の牛肉生産量は減少し780万トン ● ● ●

 EUの牛(子牛を含む)飼養頭数はBSEと生乳生産割当枠(クオータ)の影響により減少するとされる。乳用種雌牛飼養頭数は1990年代には増加したが、アジェンダ2000が公表された2000年に入り50万頭減少した。この結果、4i年間で200万頭以上の乳用種の減少となり牛肉生産でみると1999年と2003年を比較すると10%減少した。

 英国における30カ月齢以上の牛由来牛肉の買い上げおよび廃棄(OTM)対策の段階的見直しにより2006年から30カ月齢以上の牛肉の市場流通が開始されることおよび2005年1月から導入される、生産とは切り離した直接支払い(デカップリング)の開始による肉牛飼養の中止などから牛肉生産は短期的に増加すると見込まれる。一方、飼料穀物価格の上昇、デカップリングに伴う集約的肉牛生産に対する補助金の削減や小規模農家の離脱などから、全般的なEUの牛肉生産量の減少により、中期的に減少し、2011年には2006年より36万トン減少し780万トンとなると予測される。

● ● ● 牛肉消費量は微減 ● ● ●

 EUの食肉消費量はBSEの影響から回復し、2003年には過去20年来で初めて生産量を上回った。この傾向は2004〜2011年末まで持続し2004年中に介入在庫も一掃されている。

 EU拡大は今回の需給予測に大きく影響を与えるものではない。新規加盟国(NMS)のEU全体に占める割合は、生産量で8%、消費量で7%程度を占めるに過ぎない。また、NMSの牛肉生産量はほとんどが乳牛由来であり、今後ともNMSのEU全体の牛肉生産量に占める割合は限定的と見込んでいる

 EUにおいて牛肉生産量が伸びない中、消費量は安定的に推移するため市場価格が高価格で維持され、そのため2011年の牛肉消費量は2003に比べ1.1%減の8,200万トンとなるとされる。

● ● ●牛肉輸入数量は60万トンに達する● ● ●

 輸入数量は、域内需給がタイトに推移することに伴い2011年には60万トンに達するとされる。一方輸出は、減少傾向で推移し2011年では17万トンまで減少する。

牛肉需給予測EU-25、2002-2011
資料:欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」

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