アルゼンチン北部4州の牛肉、EUが輸入解禁へ


北部4州の生鮮牛肉、EUが輸入解禁へ

 アルゼンチン北部4州(サルタ、フフイ、チャコ、フォルモサ)からの骨なし熟成生鮮牛肉の輸入解禁が、1月11および12日に開催されたEUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会において承認された。

 2003年9月5日、アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は国際獣疫事務局(OIE)に、同国北部のサルタ州内、ボリビアとの国境40キロメートルに位置する農場において飼養されていた豚に、口蹄疫の発生が確認されたことを報告した。なお、このためアルゼンチンの南緯42度以北の口蹄疫ワクチン接種清浄地域のOIEステータスは留保された。(「畜産の情報(海外編)」2003年11月号p18〜19を参照)。

 EUは口蹄疫の発生当初、サルタ州内の一部の郡に限定して生鮮牛肉の輸入停止措置を講じていたが、その後SENASAが講じた国境地帯を含む口蹄疫対策を勘案し、同年10月8日以降北部4州からの輸入を停止していた「畜産の情報(海外編)」2004年6月号p22〜23を参照)。

 EUの発表によれば、「アルゼンチンにおいて12カ月以上新たな口蹄疫の発生がないこと、2004年に実施した検査ミッションが該当地域の状況が正常化されていることを報告していること」を解禁の理由に挙げている。

 これについてアマジャSENASA総裁は「この結果に満足している。皆で組織の制度的強化に取り組んでいる成果である」と話している。

 なおEUは、SENASAが監視体制を強化しているボリビアおよびパラグアイの国境線から25キロメートルの地帯からの輸入停止措置は継続するとしている。

危ぶまれる口蹄疫血清型Cの侵入

 SENASAはEUのこの輸入解禁の承認に先立つ1月5日、ボリビアおよびパラグアイとの国境地帯(国境線1,300キロメートル、幅25キロメートル)において口蹄疫のワクチン接種を強化する措置を発表した。

 この措置はブラジルで発生した口蹄疫に対処するためのものである。2004年9月10日ブラジル農務省は、ブラジル北部のアマゾナス州マナウス市に近いカレイロ・ダ・バルゼア郡において口蹄疫が発生したことを発表し、農務省家畜試験場における検査の結果、12〜24月齢の牛うち4頭が口蹄疫ウイルス血清型C(以後「TypeC」)に感染していることを確認した。

 この発生地域は、農務省が口蹄疫対策として区分した北部畜産圏に属し、OIEの衛生ステータスを持たないところであるが、自然障壁としてアマゾンの森林、川、湖があり、また道路によるアクセス方法がないため、感染拡大リスクは低いと見られている。

 しかし、アルゼンチンでは1994年以降TypeCの発生はなくかつ1999年を最後にTypeCに対応するワクチン接種を行っていないため、生産者などから北部の国境地帯においてTypeCを含むワクチンを緊急に接種すべきとの要望が出された。これらを考慮しSENASAは、2005年の第1回ワクチン接種キャンペーンから、現行のワクチン(TypeAとO)に加え、TypeCを含むワクチンを上記の国境地帯でおのおの1本ずつ接種することを決定した。なお、第2回ワクチン接種キャンペーンからは可能であれば現行ワクチンにTypeCも含め1本とし、ワクチン接種の義務があるすべての地域を対象にするとしている。

アルゼンチン北部、待望のOIEのステータスを回復

 1月18日OIE動物疾病科学委員会は、アルゼンチンの南緯42度以北の口蹄疫ワクチン接種清浄地域ステータスを1月19日から回復することを決定した。

 これを受けアルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)のカンポス長官は、「EUへの北部4州の生鮮牛肉輸出解禁に続く朗報」とした上で、「今後は輸出先が増えるだけでなく、中国という巨大市場を含めた輸出量の増加が期待される」としている。中国とはすでに昨年11月17日、ステータス回復後の骨なし生鮮牛肉の輸入を認めることについて覚書きを交わしている。

 なおパラグアイについても同委員会において、口蹄疫ワクチン接種清浄国のステータスを1月19日から回復することが決定された。


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