豪州のオーガニック産業の現状


全国の農地の1.7%がオーガニック認定農地

 連邦政府農漁林業省は、先ごろ、豪州のオーガニック産業の現状についての調査報告書「The Australian Organic Industry 」を発表した。この報告書は、豪州のオーガニック産業の全体像を明らかにしようとした初めての試みである。

 報告書によると、オーガニック認定農家数は2003年時点で1,511戸、オーガニック認定農地面積は790万ヘクタール(全国の農地の1.7%)、総産出額は1億4千万豪ドル(114億8千円、1豪ドル=82円)と推計されている。また、2003年のオーガニック農産物の輸出量は、前年比75%減の4千トンと干ばつの影響などで大幅に減少した。

 報告書のデータは、オーガニック認定7団体から提供されたデータやオーガニック認定農家397戸からの電話聞き取りから推計されたものによる。主な調査結果は次のとおり。

オーガニック認定農家数は増加の傾向

・ オーガニック認定農家数:2003年時点で1,511戸。現在オーガニック農家へ転換中の農家を勘案すると、今後3年間で2〜3割増加する見込み。

・ 認定農家の州別分布割合:ニューサウスウエールズ(NSW)州28%、クイーンズランド(QLD)州26%、ヴィクトリア(VIC)州20%と、東部3州で7割以上を占める。ほかは、南オーストラリア(SA)州10%、西オーストラリア(WA)州9%、タスマニア(TAS)州5%、北部準州(NT)2%となっている。

・ オーガニック認定農場面積:790万ヘクタール。豪州の全農地面積の1.7%に相当。このうち75%は、オーガニック認定された肉用牛の広大な牧草地があるQLD州に属する。

・ 認定農家が生産するオーガニック農産物の品目別割合:果実やナッツ類39%、野菜32%、肉用牛22%、穀物14%、鶏卵は5%、生乳4%、家きん2%、豚1%など。一つの農家で複数のオーガニック農産物を生産しているのが特徴。ただし、酪農や砂糖、コーヒーなどを栽培する農家は複数のオーガニック農産物の生産は行わない傾向にある。

・ 産出量:果物やナッツ類2.6万トン、野菜11万トン、肉用牛1.6万トン(生体重量)、生乳2万4千キロリットル、鶏卵38万ダース、豚112トン(生体重量)、家きん64トン(生体重量)となっている。

・ オーガニック農家の今後3年間の生産見通し:肉用牛や酪農、養豚などについては、農家の50%以上が生産を増やす見込みであるのに対し、穀物や家きん、鶏卵などは生産を増やすと答えた農家が50%を下回る。

品目別産出額では肉用牛がトップ

・ 産出額(農家販売価格ベース):2003年の総産出額は1億4千万豪ドル(114億8千円)。州別にみると、QLD州5,900万豪ドル(48億4千万円)、VIC州3,200万豪ドル(26億2千万円)、NSW州2,900万豪ドル(23億8千万円)などとなる。

  また、品目別に見ると、肉用牛5,200万豪ドル(42億6千万円)、野菜2,400万豪ドル(19億7千万円)果物やナッツ類2,100万豪ドル(17億2千万円)、穀物1,800万豪ドル(14億7千万円)、生乳740万豪ドル(6億1千万円)などとなる。

・ オーガニック農家の特徴:認定農家の62%が従来型の農家からオーガニック農家に転換した。残りの38%は最初からオーガニック農家として経営を始めたもの。転換農家は家畜生産者に多く、果物や野菜農家については約半分が転換農家、コーヒーやお茶など比較的新しい産業は、ほとんどが最初からオーガニック経営。77%の認定農家がオーガニックを主たる業務と位置づけている。40%以上の農家が農業以外の産業から出身者で、高学歴者が多く、平均年齢は51歳。

2003年の輸出量、干ばつなどで大幅減少

・ 輸出量は、2001年に3万7千トン(正味重量)を記録したが、その後減少し、2003年には4千トンにとどまった。減少理由の主なものは、(1)干ばつの影響、(2)豪ドル高、(3)強い国内需要であり、この減少は一時的なものとみている。

  品目別に見ると、穀物1,300トン、加工製品(ミューズリー(シリアルの一種)、小麦粉、麺、オイルなど)1,200トン、果汁飲料や豆乳400トン、牛肉240トン、ワイン240トン、コーヒー・お茶220トン、生乳・蜂蜜・鶏卵180トン、砂糖141トン、野菜120トンなど。輸出相手先は日本が全体の34%を占め最大となり、英国、仏、NZを加えた4カ国で全体の70%を占める。


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