2005年第1四半期の牛肉の生産・価格動向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 3月のフィードロット飼養頭数は前年比1.6%増 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、全米のフィードロット飼養頭数(収容能力が1,000頭以上規模)のうち約9割を占める主要7州(アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、アイオワ、カンザス、ネブラスカ、テキサス州)の2005年3月のフィードロット飼養頭数は、前年同月比1.6%増の972万2 千頭と5カ月連続で前年同月を上回った。なお、米国全体では同1.6%増の1,115万2千頭となった。(左図参照)


● ● ● 第1四半期と畜頭数は前年比3.4%減 ● ● ●

 一方、主要7州における2005年2月のフィードロットへの導入頭数は、前年同月比5.0%減の131万9千頭、また、同月の市場出荷頭数は同3.7%減の139万8千頭と、それぞれ2004年初め以降低水準で推移している。

 このような中、2005年1〜3月のと畜頭数をみると、すべての月で前年を下回り、第1四半期全体では前年同期比3.4%減の760万8千頭となった。また、同期の牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、1 頭当たりの枝肉重量が2004年4月以降前年同月を上回り増加傾向にあるものの、と畜頭数の減少から同1.5%減の260万8千トンと依然低水準で推移している。

フィードロットへの導入頭数
資料:NASS/USDA「Cattle on Feed」
注:主要7州における収容能力1,000頭以上のフィードロットへの導入頭数

フィードロットからの出荷頭数
資料:NASS/USDA「Cattle on Feed」
注:主要7州における収容能力1,000頭以上のフィードロットからの出荷頭数


● ● ● カナダ産生体牛輸入停止の長期化が影響 ● ● ●

 このように低迷する牛肉生産の要因の一つとして、カナダ産生体牛の輸入停止措置の長期化による米国内での肥育素牛価格の高騰が挙げられる。2005年1〜3月の肥育素牛価格(オクラホマシティの市場価格、去勢、600〜650ポンド)は、それぞれ前年を16.5%、18.6%、18.5%上回り、第1四半期の平均価格は前年同期比17.9%高の100ポンド当たり116.4ドル(1 キログラム当たり277円、1 =108円)と、記録的高値で推移した2004年をさらに上回る水準で推移している。

 さらに、肥育牛価格(去勢、チョイス級、1,100〜1,300ポンド)および牛肉卸売価格(カットアウトバリュー、チョイス級、枝肉550〜700ポンド)をみても、2004年後半以降前年同月を下回って推移したものの、第1四半期平均価格は、それぞれ前年同期比8.3%高の100ポンド当たり89.0ドル(1キログラム当たり212円)、同8.1%高の同147.4ドル(同351円)と2005年1月以降再び上昇傾向に転じた。

 米国では3月2日、連邦地裁により当初3月7日に解禁となる予定だったカナダ産生体牛の輸入再開を差し止める仮処分が決定された。このことから米国における肉牛および牛肉価格は引き続き高水準で推移するものと見込まれる。


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