2004/05年度2月末実績、前年同期比0.9%減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 回復の遅れが見られる生乳生産 ● ● ●

 豪州の生乳生産は回復の兆しを見せない。デイリー・オーストラリア(DA)によると、2004/05年度7〜2月期の生乳生産量(累積)の実績は、前年同期比0.9%減の743万8千リットルと、干ばつ発生前である01/02年度の水準を下回った。州別に見ると、主要酪農地域であるビクトリア州、また、タスマニア州では前年度を1〜2%程度上回ったが、その他の州では軒並み減少している。DAは、その要因として、2002/03年度の全国的な干ばつにより減少した乳用牛の飼養頭数が影響しているとしている。

 DAは今後の見通しとして、晩夏から秋の中ごろにかけて酪農に適した天候条件が予想されることから、飼養頭数および生乳生産は回復の兆しが出てくるが、牛群の再構築が完了するには、いまだ時間を要するとしている。

各年度(7月〜2月)の生乳生産実績
資料:DA


● ● ● 乳製品生産量も減少傾向 ● ● ●

 生乳生産量の伸び悩みを反映して、乳製品生産量も減少傾向で推移している。DAによると、2004/05年度7〜2月期の乳製品生産量(累計)は、73万8千トンと前年同期比で2.3%下回った。品目別では、バター、バターミルクパウダー、全粉乳が前年同期比で横ばいであったのに対し、チーズおよび脱脂粉乳は同2〜3%の減少、バターオイルが同21.1%の減少と大きく落ち込んだ。また、チーズを種類別に見ると、ハードチーズやフレッシュチーズがそれぞれ前年同期比で22.9%、12.7%増加したのに対して、セミハードを代表するチューダーチーズは4.9%減少するなど生乳生産の回復が遅れる中で、より需要の高い品目へと生産がシフトする傾向が現れている。

 DAは、乳製品生産の今後の見通しとして、脱脂粉乳やバター製品から全粉乳やチーズなど、より付加価値の高い製品にシフトすることが見込まれるとしており、チーズについては、フレッシュチーズやセミハードチーズ、ハードチーズの生産が強く伸びるとみている。

 

● ● ● 乳製品国際価格は上昇傾向 ● ● ●

 乳製品国際市況は、タイトな需給を反映して、2002〜2003年の底値を境に価格が上向きに転じ、2004年以降は大幅な価格高騰が続いている。

 2004/05年のバター国際価格について豪州農業資源経済局(ABARE)の予測によると、トン当たり2,170米ドル(23万 4千円:1米ドル=108円)と前年度と比べて33.9%の上昇が見込まれている。バター価格高騰の要因としてDAは、バターの主要輸入国であるロシアや中東諸国での国際的な原油価格上昇を背景とした需要拡大を反映しているとしている。主要乳製品の国際価格についてABAREでは、チーズが、国際的なチーズ消費の拡大と供給の減少を反映して前年度比19.5%高のトン当たり2,818米ドル(30万4千円)脱脂粉乳が、東南アジアでの需要拡大と供給不足を反映して、前年度比18.9%高のトン当たり2,214米ドル(23万9千円)と、いずれも高値での推移を予測している。


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