拡大傾向で推移する乳製品需要


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 乳製品需要は拡大傾向で推移 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2004年の牛乳乳製品消費量(乳脂肪ベースの生乳換算値)は、経済成長に伴う国民所得の向上などを背景とした外食産業需要の高まりを受け、チーズやバターを中心に前年比0.9%増の7,992万3千トンとなった。また、2005年では同0.7%増の8,051万2千トンと、今後も乳製品需要は拡大傾向で推移するものと見込まれている。

 このような中、2004年の主要乳製品の生産量をみると、チーズは前年に比べ2.9%増の401万4千トンと初めて400万トン台を突破した。内訳をみると、チェダーチーズに代表されるアメリカンタイプが前年比1.9%増の169万7千トン、モッツアレラチーズに代表されるイタリアンタイプが同3.7%増の165万7千トンとなった。また、バターおよび脱脂粉乳は、それぞれ同1.8%減の55万3千トン、同12.1%減の63万4千トンと主要乳製品の中ではチーズ生産の増加が顕著であった。

 

● ● ● 2004年の乳製品輸出は大幅増 ● ● ●

 USDAによると、2004年の乳製品輸出総額は、前年比45.6%増の14億5,190万ドル(1,568億円:1ドル=108円)となった。品目別にみると、脱脂粉乳は同146.4%増の4億4,389万ドル(約479億円)と、乳製品輸出奨励計画(DEIP)に基づく輸出に加え商業輸出が好調だったことにより大幅に増加した。また、チーズは同30.0%増の1億9,781万ドル(約214億円)、ホエイ製品は同20.7%増の1億6,168万ドル(約175億円)と2004年の乳製品輸出は軒並み増加した。

主要乳製品の輸出額
資料:FAS/USDA「Import and export Data by Commodity」
 注:バターにはバター製品、チーズにはカード含む

● ● ● 脱脂粉乳輸出は約2倍増、チーズ輸出は17.7%増 ● ● ●

 また、2004年の主要乳製品の品目別輸出量は、脱脂粉乳が前年に比べ約2倍の23万1千トンとなった。輸出国別にみると、メキシコ向けが前年比56.5%増の9万トン、フィリピン、インドネシア向けがそれぞれ104.4%増の2万3千トン、119.3%増の1万3千トンとなった。その他では、数量としてはそれほど大きくないもののマレーシア、ベトナム、タイなど東南アジア諸国向けの増加が顕著であった。このような中、2004年末の脱脂粉乳の政府および民間在庫量は、(1)脱脂粉乳輸出量の増加、(2)国内需要の拡大、(3)精力的な海外支援の実施−などにより、それぞれ前年比52.5%減の18万8千トン、5.6%減の4万 5千トンと大幅に減少した。
 一方、チーズの輸出量は、メキシコ、日本向けを中心に全体では前年比17.7%増の6万1千トン、バターは前年比75.7%増の6千トンとなった。

 USDAによると、2005年の乳製品輸出については、(1)為替のドル安傾向、(2)国際市場での乳製品需要の拡大、(3)欧州産乳製品の供給不足、(4)乳製品国際価格の安定的推移−などが予想されることから、脱脂粉乳やチーズを中心に引き続き高水準で推移するものと見込まれている。

脱脂粉乳・チーズの国別輸出量
資料:FAS/USDA「Import and export Data by Commodity」

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