イギリス、OTMの牛の処分対策の改正案を公表


改正案について意見を募集

 イギリス環境・食料・農村地域省(DEFRA)は3月8日、BSE対策の1つである30カ月齢超(Over thirty Months :OTM)の牛の処分対策の改正案を公表した。また同時に、その案についてさまざまな企業、団体をはじめ一般からの意見募集を始めたことを公表した。

 イギリスでは現在、OTMの牛の処分対策に基づき、と畜時の月齢がOTMの牛については、食肉として市場に出回ることがないよう、と畜後焼却処分している(OTMの牛の一部には抽出によるBSE検査を実施)。一方、BSE患畜の発生が減少していることなどから、同国政府は、イギリス食品基準庁(FSA)からの勧告を踏まえ昨年12月、OTM対策の終了に向けた移行期間の開始とOTMの牛のBSE検査を抽出から、他のEU加盟国と同様の全頭検査に切り替えることを公表していた。

 なお、今回の改正案に係るプレスリリースでは、BSEがフードチェーンに入らないようにするための主な対策は、牛におけるBSEの伝染性物質の99%以上を占める特定危険部位(SRM)の除去と、全家畜への動物性たんぱく質の給与禁止であることを説明している。



改正案の内容

 改正案は、と畜時の月齢が30カ月齢を超える牛を食用のためにと畜すると畜場は、食肉衛生局(Meat Hygiene Service)と、BSE検査のためのサンプルに関することなどを含む当該と畜場に関する必須の実施手法(Required Method of Operation)に関して文書にて合意するとともに、その合意内容に従うことを求めている。当該必須の実施手法を順守していないときは、食品衛生局の検査官が当該と畜場に対して、関係するOTMの牛の枝肉および血液や皮を含むその他のすべての部分を、補償なしで廃棄することを指示できるとしている。



改正の適否、時期は試行状況が左右

 今回公表された改正案については、一般からの意見募集を5月末日まで行うこととしている。

 一方、DEFRAは、4月上旬まで、国内の多くのと畜場が協力し、BSE検査について試行を行うこととしている。この試行はFSAが設置した独立した諮問グループの勧告に従ったものであり、この諮問グループは、FSAに対し、試行の結果について勧告することとなる。この勧告などを踏まえ、FSAは大臣に勧告を行うことになる。OTM対策に代わるBSE対策の改正時期については、検査体制が満足できるものであるという勧告をFSAがいつ大臣に行うのか、またその勧告にいつ大臣が同意するのかによる。このような手順でBSE対策は変更されることになるが、DEFRAは、OTM対策の変更は、本年後半までは行われず、また、イギリス産牛肉のEUへの輸出に関する規制は、本年遅くまで変更されるとは期待されないとしている。さらに、飼料給与の規制措置を開始した1996年8月1日より前に生まれた牛については、引き続き、恒久的にフードチェーンから除外することとしている。

 今回の改正案の公表に際し、ウィッティー政務次官(食品・農業担当)は、「厳格なBSE検査体制の確立に向け進展している。この体制は引き続き消費者をBSEリスクから保護することに寄与する。また、多くのと畜場がこの検査体制の試行に協力することにありがたく思っている」とコメントしている。


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