国境地域での口蹄疫ワクチン接種を強化 ● アルゼンチン


口蹄疫ウィルス血清型Cのワクチン接種を実施

 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は、2005年第1回目の口蹄疫ワクチン接種キャンペーンを3月1日から実施することを公表した。2001年4月に開始された同キャンペーンは今回で9回目を迎え、口蹄疫ウィルス血清型AとOのワクチン5,850万本以上を接種することとなっている。  

 さらに、ボリビア、パラグアイおよびブラジルの国境地帯(幅25キロメートル)において、2004年9月にブラジルで発生した口蹄疫に対応するため、この際に確認された口蹄疫ウィルス血清型Cのワクチンを感受性のある全家畜を対象に接種するとしている。アルゼンチンでは1994年以降、ウィルス血清型Cの発生はなく、また、1999年を最後に同型に対応するワクチン接種を行っていなかった。同地帯については、昨年7月に開始された国境地帯防護プロジェクトにより接種されるワクチン全タイプが無料で提供され、また、ボリビア、パラグアイ、ブラジルと国境を接するサルタ、フフイ、フォルモサ(一部地域の牛は除く)、ミシオネス、コリエンテス州も対象となり、250万本のワクチンが用意されている。

 なお、今後予定されている2005年の第2回ワクチン接種キャンペーンでは口蹄疫ウィルス血清型Cも含め1本としたワクチンを接種義務のあるすべての地域の牛に拡大するとしている。

 SENASAでは、ワクチン接種はアルゼンチンの畜産業を保護するための必要不可欠の衛生対策であり、このキャンペーンにより国際獣疫事務局(OIE)による口蹄疫ワクチン接種清浄地域のステータスを1月19日から回復したことを強調している。



牛肉輸出拡大を目指し、衛生状況を強化

 2004年のアルゼンチンの牛肉輸出量(生鮮肉、加工肉、ヒルトン枠および内臓)は47万8千トン、輸出額は10億5千万ドル(約1,102億5千万円:1 ドル=105円)となった。SENASAによると、輸出量についてはここ25年間、額については10年間の最高記録となり、輸出量では米国、カナダ、ニュージーランドをしのぎ、ブラジル、オーストラリアに次ぐ牛肉輸出国となった。現在の輸出先は84カ国に上っている。こうしたことからSENASAでは、現在の衛生状況をさらに強化するために以下のことを改めて周知した。

・ 各農場でのワクチン接種は、実施機関が定めた60日間のうち1回で終了すること
・ 180日間に2回目のワクチン接種を終了した家畜のみ移動が可能
・ 家畜の移動は接種が終了した農場からのみとすること
・ ワクチンの有効性と品質を保証するために冷暗での保管を維持すること



ブラジルでもキャンペーンを開始

 一方、ブラジル農務省(MAPA)によると、同国でも3月1日よりバイア、セアラ、エスピリトサント、ミナスジェライス、リオデジャネイロの各州の約2,600万頭の牛への口蹄疫ワクチン接種が実施される。これは、2006年末までに口蹄疫撲滅を目指す全国口蹄疫撲滅計画の一環である。今年度の口蹄疫対策には6,530万レアル(約26億1,200万円:1 レアル=40円)の資金が投入されており、これは前年度の3,050万レアル(約12億2千万円)を114%上回っている。なお、この資金のうち65%が非清浄地域を含む北部および北東部に、35%が南部、東部、中西部に充てられる。


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