豪州・NZとも活発化するFTA交渉


豪・NZともFTA進展へ

 豪州およびニュージーランド(NZ)は、今年に入って、自由貿易協定(FTA)に関する動きが活発化している。

 両国とも2月にASEANとのFTA交渉を開始したが、豪州政府は、3月に入り、中国とのFTAの実現に向けての研究会の結果取りまとめの時期を前倒しして4月に行うと発表、さらに、アラブ首長国連邦(UAE)とのFTA交渉を開始すると発表した。

 一方、NZ政府も先ごろ、マレーシアとのFTA交渉に向けた予備調査の結果を発表し、次のステップに進むこととなった。



豪州・中国間のFTA交渉、順調に前進

 3月8日から11日まで中国を訪問した豪州のベール貿易相は10日、北京で行われた中国側担当閣僚との会談で、中国とのFTAに関して、

(1) FTA交渉には、FTA締結に当たって懸案とされていた農業分野やサービス分野、製造業分野などすべての分野を含むこと
(2) 研究会での検討が終了した後、両者ともそれぞれの政府に対し、この研究会の結果を提示すること(これに関して、ベール貿易相は、ハワード首相が4月に中国を訪ずれる前に行われるとしている。)
(3) このFTAは、世界貿易機関(WTO)のルールと矛盾したものにならないこと
(4) このFTAは、実質的で幅広い経済的利益を両国にもたらす潜在的可能性があることに同意したとしている。

 この研究会については、両国間で2003年の10月にその実施が決定され、2年後の2005年10月に終了することとなっていたが、両者の合意により早められる結果となった。

 ベール貿易相はこの発表に際し、「中国の今後10年間の経済成長は目を見張るもがあり、豪州がこの主要な輸出市場で有利な地位を占めるのは必須のことである」などと述べ、豪州にとっての中国市場の重要性を強調している。

  豪州から中国への輸出額は、2004年では前年比24%増の約11億豪ドル(935億円、1豪ドル=85円)となった。過去10年間で4倍に伸びている。畜産分野の中国向け輸出は、乳製品のほかに最近乳牛の輸出が伸びており2003/04年度の生体家畜輸出量は約6万頭となっている。



豪州・UAE間FTA交渉開始

 また、ベール貿易相は3月15日、キャンベラで開かれた豪州・UAE閣僚会議で両国のFTA交渉開始が決定されたと発表した。豪州にとって、中東諸国とのFTA交渉は初めてとなる。ベール貿易相によれば、UAEは「中東のシンガポールとして、金融や輸送などのハブとしての役割を増し、年間5%以上の経済成長が予測される」とし、FTAの締結によって、「両国の経済は広範囲の分野で補完関係にあり、両国とも貿易障壁の削減から利益を受ける」と述べている。FTAの内容は商品やサービス、投資などをカバーする総合的な内容となるとみられる。

 UAEは豪州にとって中東諸国の中ではサウジアラビアに次ぎ第2位の貿易相手国。2004年の両国間の商品取引額は、併せて22億豪ドル(1,870億円)、サービス部門では15億豪ドル(1,275億円)となっている。2003/04年度のUAEへの生体家畜輸出量は、羊は約24万頭と、国別では上位から6番目に位置している。

 また、UAEは2004年12月、豪州と生体家畜の輸出に関する覚書を締結し、生体家畜の輸入体制をいち早く整えている。



NZ・マレーシア間のFTA予備調査終了

 一方、NZは、ASEANとのFTA交渉開始に続いて3月10日、マレーシアとのFTAについての予備調査の結果を発表した。調査結果によると、市場参入機会の改善や輸入商品の低価格化による国内経済への効果、商業参入の容易化を通じて、FTAは両国に経済的利益をもたらすと結論づけている。農業分野については、乳製品貿易について、従来の乳製品輸出に加え、FTAによって付加価値のある製品などの輸出の増加が期待できるとしている。

 両国では、2004年9月、両国の貿易担当相が相互にFTAの効果を調査することで合意していた。両国では、交渉の次の段階に入る前に今回の調査で明らかになった点について3月末までに話し合うこととなった。


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