フィリピン鶏肉業界、ミニマムアクセスの延長を希望


ミニマムアクセスの設定は本年6月まで

 フィリピンはUR交渉の結果、1995年から同国のセンシティブ品目である牛肉、豚肉および鶏肉などにミニマムアクセスを設定したが、その最終期限が本年の6月となっている。これに対して、特に大手ブロイラー企業が構成するフィリピンブロイラーインテグレーター協会(PABI)を中心にミニマムアクセスの設定期限の延長を求める声が挙がっている。

 このミニマムアクセスの期間設定に関して、農務省は、WTO交渉は少なくとも10年以内で終わるものと見込まれていたため、2005年までの設定となっているが、実際はこの想定を超えて交渉が続いており、現在、法務省とミニマムアクセス枠の期限問題の取り扱いに関して協議を進めているとしている。



政府は輸入枠で鶏肉需給を管理

 現在、同国の鶏肉の輸入に関しては、ミニマムアクセス枠内関税が30〜45%であるが、この割当枠を超えた場合には最高60%の2次関税に引き上げられることとなっている。また、ミニマムアクセスは2001年に約2万トンとなり、その後も毎年約1千トンずつ増加し、2004年には約2万3千トンの設定となっていた。2005年は6月までとされ、約1万トンの設定となっている。

 政府はミニマムアクセスを中心とした輸入枠の発給によって鶏肉輸入を管理してきており、特に、2004年前半には周辺国で発生した鳥インフルエンザのあおりを受けて需要が減退し、生産が縮小した後に需要が回復して需給バランスが崩れ価格が高騰した。この際、政府はミニマムアクセスのほかに5千トンの枠を発給して対応した。

 この一方で、政府は鶏の在来種の改良や普及などの生産対策も進めているものの、鶏肉不足の短期的な需給の変化への対応には、即効性のある輸入によって対応しているのが実情である。



ブロイラー業界は輸入拡大を警戒

 中小のブロイラー生産者を代表するブロイラー生産者組合(UBRA)は、鶏肉のミニマムアクセスが今年の7月以降設定されない場合、ミニマムアクセスを超えた場合は関税が引き上げられるものの、輸入量の増加による鶏肉価格の低下が予想され、国内生産者の経営が厳しくなるとしている。

 また、この鶏肉価格の低下に加えて、PABI、UBRAとも、ミニマムアクセスの終了に伴う鶏肉輸入の拡大が、同国への鳥インフルエンザ侵入の可能性を高めるのではないかとの懸念を表明している。

 特にメンバーに鶏肉製品の輸出企業を抱えるPABIは、同国は2004年に鶏肉製品を主に日本に約1千トン余り輸出しており、これは2003年の輸出実績がわずか数十トンであったことを見れば、鳥インフルエンザ未発生国のメリットを生かしたものと考えられている。韓国や香港からの引合いは継続しており、2005年には鶏肉製品の輸出量を8千トンに増加させたいとしている。

 このように、鳥インフルエンザの未発生である同国の優位性を持続するため、輸入の厳格な管理が必要であり、そのためにもミニマムアクセスの継続が必要であるとしている。


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