フィードロット飼養頭数、引き続き記録更新


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 飼養頭数は87万頭に、収容可能頭数も100万頭を突破 ● ● ●

 豪州フィードロット協会(ALFA)は7月27日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2005年6月末時点の総飼養頭数は87万9千頭と、前回調査(2005年3月末)に引き続き、過去最高の飼養頭数を記録した。また、フィードロットの収容可能頭数は、全体で102万9千頭と初めて100万頭を突破し、稼働率も前回調査に引き続き85%の高水準を維持するなど、全体的に好調な結果となった。

● ● ● 国内外の需要が貢献、価格低下も後押し ● ● ●

 飼養頭数増加についてALFAでは、通常の季節的要因と併せ、輸出および国内需要が依然として高かったことを要因として挙げた上で、2005年6月中旬まで続いた豪州全土での干ばつの影響で、素牛出荷の増加に伴う肉牛価格の低下も、飼養頭数の増加を後押ししたとみている。

 フィードロット飼養頭数を州別にみると、西オーストラリア(WA)州が前期比で28%減となったものの、フィードロットが集中するクイーズランド(QLD)州では過去最高の43万8千頭に、ニューサウスウェールズ(NSW)州でも同様に31万1千頭と、主要生産地を中心に順調な増加となった。

州別フィードロット飼養頭数の推移

資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」
注:QLD=クインズラント州、NSW=ニューサウスウェールズ州、
VIC=ビクトリア州、SA=南オーストラリア州、WA=西オーストラリア州

● ● ● 国内仕向け頭数が増加 ● ● ●

 飼養頭数を仕向け先別にみると、輸出向け飼養頭数は55万1千頭でフィードロット全体の63%となり、前期比で4ポイント低下した。一方、国内向けは31万4千頭で同36%と前期比で6ポイント上昇した。

 国内向け飼養頭数が増加した要因としては、好調な経済状況を反映した需要の高まりが挙げられる。フィードロットの飼養規模別に見ても、国内向けとされる500〜1千頭規模のフィードロットが前期比で63%増と、その拡大が目立っている。

 日本向けが前期比5%減の49万3千頭、韓国向けが同8%減の3万6千頭と、前回調査時より減少したものの、依然として高水準を維持している。

仕向け先別フィードロット飼養頭数の推移

資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」


● ● ● 上昇に転じた素牛価格、フィードロットへの影響も懸念 ● ● ●

 高まる需要を背景にフィードロット飼養頭数は増加基調で推移しているが、6月中旬以降の全国的な降雨により、肉牛生産者が素牛出荷を抑制したことから、市場価格は大きく上昇に転じた。素牛価格の指標となる2005年9月第2週の東部若齢牛指数価格は、1キログラム当たり414豪セント(352円:1豪セント=0.85円)と前年同期比7%高の高値で推移している。この結果、大手食肉パッカーでは、肉牛価格の高騰によるコスト上昇に加え、対日・対米向け輸出が低調なことから、操業を一部縮小する動きもでてきており、順調に拡大を続けるフィードロットへの影響が懸念されている。


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