2012年までの牛肉需給予測を公表


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は7月29日、2005〜2012年における欧州連合(EU)の主要農産物の需給に関する中期予測を公表した。これは、2005年5月までに公表されたデータを基にしたものであり、牛肉(子牛肉を含む)に係る内容は以下のとおり。

● ● ● 2012年の牛肉生産量は761万トンに減少 ● ● ●

 EUの牛飼養頭数(子牛を含む)は、96年から2001年にかけて顕在化したBSEや、生乳生産の調整を目的としたクオータ制度の導入および乳牛の泌乳能力向上などを背景として、2012年までの期間では減少に向かうと予測されている。

 2004年の牛肉生産量は、2005年から導入される生産とは切り離した単一の直接支払い(デカップリング)を折り込んだと畜の増加(前年比10%増)などでいったん前年を上回る。2005年には再び前年を割り込むものの、イギリスが行っている30カ月齢以上の牛の処分対策(OTMS)が2006年初めに終了することから、牛肉の流通量が増加し牛肉生産は短期的には増加すると見込まれている。しかしながら、牛肉生産は、その後予想される飼料価格の高騰や非効率な経営体における生産の減少、小規模農家の離農などによって縮小し、2012年には2004年より42万トン少ない761万トンにまで減少すると予測されている。


● ● ● 牛肉消費はやや減少も横ばいで推移 ● ● ●

 2004年5月、新たにEUに加盟した新規加盟国(NMS)はEU全体において、牛肉生産量の8%、牛肉消費量の6%を占めるに過ぎず、今回のEU拡大が域内の牛肉需給動向に与える影響は限定的とみられている。

 牛肉消費は、比較的早期にBSE発生前の状況に回復しており、2003年には過去20年で初めて消費量が生産量を上回った。EU25カ国の牛肉消費は、2012年までの期間を通してやや減少するもののほぼ横ばいで推移し、2012年には1人当たり17.5キログラムとなる見込みである。従来の加盟国であるEU15カ国の2012年の牛肉消費量は2003年と比較して3.0%減の19.5キログラムであるが、NMSは同13.0%減の6.7キログラムとなり、減少幅はNMSが大きい。


● ● ● 2012年の牛肉輸入は63万トン ● ● ●

 牛肉輸入は、堅調な需要およびタイトな供給を反映して増加傾向で推移し、2012年には2003年と比較して42.7%増の63万トンに達すると見込まれている。一方、輸出は国内生産の減少や域内価格の高騰およびユーロ高による競争力の低下から減少の一途をたどり、2012年には同74.1%減の10万トンにまで大幅に落ち込むとされている。

EU25の牛肉需給の推移(2003〜2012)

資料:欧州委員会「Prospecs for agricultural markets in the EU」



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