2004/05年度の生乳生産と今後の動向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004/05年度は季節的な変動がやや緩やかに ● ● ●

 豪州の2004/05年度の生乳生産量は、ほぼ前年度並みの水準が見込まれている。デイリー・オーストラリア(DA)が発表した2004年7月〜2005年5月の生乳生産量(累計)は、前年同期比0.4%増の953万6千キロリットルとなった。

 2004/05年度の生乳生産について、年度を通じた特徴としては、前年および前々年と比べて、季節的な生乳生産の変動がやや緩やかになっていることが挙げられる。DAによれば、2004/05年度は、生乳生産のピークに当たる10月の生乳生産量が、前年同月比で1.3%減、前々年同月比で8.6%減となる一方、生乳生産が伸び悩む3月〜5月にかけては、前年同期比で4〜6%、前々年同月比で9〜10%上回った(右図参照)。その要因として、2002/03年度の干ばつによる乳用牛飼養頭数の回復の遅れが生乳生産のピーク時に影響を与えたのに対して、2月は大部分の地域で降雨に恵まれたことから、牧草などの生育環境が改善、平年並みの水準に達したとしている。


● ● ● ビクトリア州の生乳生産 ● ● ●

 生乳生産を州別に見ると、年度を通じて降水量がほぼ平年並みとなったビクトリア(VIC)州、タスマニア(TAS)州で前年を上回った。DAによれば、VIC州およびTAS州の2004年7月〜2005年5月生乳生産量(累計)はそれぞれ、前年同期比2.8%増の627万1千キロリットル、同1.1%増の57万6千キロリットルとなっている。特に主要生乳生産地帯であるVIC州では、2月の降雨による牧草の生育環境が好転したことにより2002/03年度の干ばつによる2005年3月が12.7%増、4月が同9.6%増、5月が同9.3%増と伸びたことで、豪州全体の生乳生産量を押し上げた。

 一方、その他の州では軒並み減少となった。特にニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州とクイーンズランド(QLD)州の減少が著しく、ほぼすべての月で前年同月比5〜12%の水準で減少を続けた。2004年7月〜2005年5月の累計では、NSW州で前年同期比4.6%減の112万8千キロリットル、QLD州で同8.9%減の56万9千キロリットルとなった。

2004/05年度生乳生産量の推移



● ● ● 2005/06年度は最大で2%増加との予測も ● ● ●

 2005/06年度の生乳生産についてDAでは、状況によって最大2%程度の増加を見込んでいる。その要因として、2005/06年度は、天候の改善により前年度に比べ乳用牛の飼育状況および牧草の生育状況が良好に維持することを挙げており、また、高値での推移が予測される乳価により農家の現金収入が改善し、生乳余力が拡大する点も生乳生産に大きく寄与するとみている。

 しかし一方では、生乳生産に対する懸念として、(1)いくつかの地域では干ばつの懸念が払しょくできないことから冬穀物の育成状況が不確定なこと、(2)年度当初(2005年6月末現在)の乳用経産牛飼養頭数が低水準にあることから、生乳生産のピークに当たる2005年10月も前年同期日2.5%前後の減少が見込まれること−などを不安材料として挙げている。


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