ニュージーランド政府、生乳生産および乳製品需給の現状と見通しを発表


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004/05年度生乳生産量、天候不良から前年度を下回る見込み ● ● ●

 ニュージーランド(NZ)農林省は7月、農産物需給の現状と予測「SONZAF2005」を発表した。それによると、2004/05年度6〜5月の生乳生産量および乳製品輸出量は、昨年度を下回ることが見込まれている。

 2004/05年度は、シーズン当初から低温、多雨な気候が続いたことから牧草の生育状況が悪化し生乳生産が落ち込んだ。フォンテラは2004年11月時点で、「生乳生産量は前年同期比5%の減少」と発表していた。その後、天候が回復に向かい生産量はやや改善したものの、2004/05年度全体では、前年度比約4%減の1,450万キロリットルと見込んでいる。

 2004/05年度の乳製品生産量も、生乳生産量の減少に伴って前年度比約4%減を見込んでいる。品目別にみると、利益率が高い全粉乳やカゼインなどの生産を重視する傾向にあり、その代わり脱脂粉乳の生産が減少している。

 また、2004/05年度の乳製品輸出量は12%減の165万トンとなる見込みである。これは、乳製品生産量の減少に加え、ひっ迫した国際需給に対応してフォンテラが主要な顧客への安定的な乳製品供給を確保するため、その分の乳製品を在庫として保持していることも一因となっている。一方、輸出を金額ベースで見ると減少幅は約2%減にとどまり、56億6千万NZドル(4,528億円、1NZドル=80円)となる見込みである。これは、乳製品国際価格の高騰が影響している。


● ● ● 2005/06年以降は、生乳生産量、乳製品輸出量とも増加の予測 ● ● ●

 今後3年間(2005/6〜2007/08年度)の予測としては、生乳生産量および乳製品輸出量とも年々増加すると見ている。増加要因として、(1)一頭当たりの泌乳量の増加、(2)経産牛飼養頭数の増加、(3)天候の回復―を挙げている。しかし、経産牛飼養頭数の増加についてはその伸びは鈍化し、前年度対比で1%を下回る程度の緩やかなものになると予測している。その理由として、(1)羊肉生産などのより生産性の高い産業への酪農家の転換、(2)需給の緩和による乳製品国際価格の下落などによるフォンテラの生産者支払乳価の低下、(3)一部地域でのかんがい用水の確保問題(これは過去10年間に多くの羊農家や耕種農家が酪農業へ転換した南島のカンタベリー地区で、現状以上のかんがい用水の確保が難しくなりつつあること)、(4)環境規制の強化による酪農家のコスト負担増などーが見込まれるとしている。

 一方、乳製品生産量は生乳生産量の増加にしたがって、すべての品目で増加すると見込んでいるが、とりわけ還元乳製造や他の食品の成分として利用される全粉乳に最も大きな需要が見込まれるとみており、今後も全粉乳の生産に力点が置かれると予測している。

 また、乳製品輸出量は、乳製品生産量の増加にしたがって増え、2007/08年度には200万トンに近づき、輸出金額は68億9千NZドル(5,512億円)となる見込みである。


● ● ● 輸出先は全粉乳の需要が多いアジア、中東向けなどが拡大 ● ● ●

 輸出先については、現在輸出金額ベースでアジア向けが半数を占めている。続いて北米、EU、中東向けが主要な市場となっており、それぞれ約13%ずつ占めている。国別にみると、上位から、米国12%、EU9%、フィリピン7%の順となっている。今後は、全粉乳の輸出拡大が見込まれることから、全粉乳の需要が多いアジア、中南米、中東向け輸出が拡大するとみている。

生乳生産などの実績および予測


 また、2004/05年度の生産者生乳支払価格(乳固形分ベース)は、国際乳製品価格の高騰により前年度比6%増のキログラム当たり4.49NZドル (359円)と見込んでいる。2005/06年度以降の乳価は、国際乳製品価格が低下することなどから、引き下げられると予測している。


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