2005年の生体牛輸出、価格高騰などから減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 輸出は、前年比10%減の57万3千頭に ● ● ●

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が2006年2月末に発表した「Industry Projections 2006」によると、2005年の豪州の生体牛輸出は前年比10%減の57万3千頭となった。豪州の生体牛輸出は2002年以降減少傾向にある。輸出先の内訳を見てみると、最大の仕向け先であるインドネシアが前年比3%減の34万8千頭、続くマレーシア、中国、フィリピンも、それぞれ同25%減、56%減、55%減と大幅に減少した。MLAはその理由として、肉牛価格の高騰、主要通貨に対して豪ドル高で推移した為替相場、原油価格の上昇に伴う輸送コスト高、南米やインド産牛肉との価格競合などを挙げている。

 特に2004年以降、日本を含むアジア地域において、米国産牛肉の輸入停止を背景に豪州産牛肉への需要が高まったことで、これまで生体牛輸出に仕向けられていた若齢牛の一部が、フィードロットに仕向けられ、肉牛の供給が不足したことも影響したとみられる。

図1 仕向け先別、生体牛輸出

資料:MLA

 

● ● ● 中東向け、日本向けは増加 ● ● ●

 一方、生体牛輸出量全体が減少する中で、中東向けは前年比21%増の7万4千頭、日本向けは同40%増の2万5千頭と、いずれも頭数を大きく伸ばした。これは、中東向けが、原油価格の上昇を背景に牛肉の消費需要が伸びたこと、日本向けは、乳用種の輸出が増加したことが要因として挙げられる。特に、従来、安価な南米産牛肉が消費の中心となっていた中東諸国では、ブラジルでの口蹄疫発生などにより、同地域からの輸出が、今後、鈍化することが予測されるため、これが豪州の生体牛輸出にとって追い風になるとの期待もある。

 2006年の生体牛輸出についてMLAは、肉牛価格の低下などで輸出環境は落ち着きを取り戻すことから、輸出頭数の回復を見込んでおり、前年比5%増の6万頭を予測している。


● ● ● 2006年の肉牛飼養頭数は3.9%増の見込み、干ばつ以前の水準に回復 ● ● ●

 生体牛輸出の基礎となる肉牛の飼養頭数についてMLAは、2006年はこのような生体牛輸出の減少に加えて、肉牛価格の上昇が結果的に牛群再構築につながったこと、また、気象条件の改善などが予測されることなどから、前年比3.9%増の2,880万頭を見込んでいる。2002/03年度の大規模な干ばつにより落ち込んでいた肉牛の飼養頭数は、その後、順調に増加を続け、何とか干ばつ前の水準にまで回復する見込みである。。


 資料:ABS, DAFF
 注:飼養頭数は、各年6月30日現在

元のページに戻る