好調な2005年ブロイラー輸出は海外のAIの影響を相殺


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● ブロイラー輸出量は第4四半期減少も2005年全体では7.6%増 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によれば、2005年のブロイラー輸出量は、前年比7.6%増の233万5千トンとなった。四半期別に見ると、第1四半期が前年同期比17.2%増、第2四半期が同33.6%増、第3四半期が同4.0%増と軒並み増加となったのに対し、第4四半期は、同13.7%減と大幅な減少になった。USDAによると、第4四半期の減少は、鳥インフルエンザ(AI)の発生がアジア域外にも拡大したことから、鶏肉需要が大きく減退したことによる影響だとしている。しかし、2005年全体では、数量が著しく増加した第1〜3四半期に後押しされて、2000年以来の高い増加率を記録した。

図1 ロシア向けブロイラー輸出量の推移

資料:USDA

 

● ● ● ロシア向けが8.9%増、メキシコ向けが21.0%増 ● ● ●

 2005年のブロイラー輸出量を仕向け先別にみると、ロシアが前年比8.9%増の74万2千トン、メキシコが同21.0%増の23万7千トン、香港が同31.5%増の15万7千トン、カナダが同5.4%減の10万4千トンとなった。USDAによると、鳥インフルエンザの拡大で、第4四半期の東欧および中央アジア向け輸出量は大幅な減少となる一方、ロシアおよびメキシコ向け輸出量は、第3四半期までに顕著な増加を続けていたことから、鳥インフルエンザの影響を相殺する結果となり、2005年全体でもその増加は際立った。

 なお、鳥インフルエンザの拡大で国際的な需要が減退する一方、暴落したブロイラー価格、とりわけ骨付きもも肉(レッグクオーター)価格の安値に好感して、12月は韓国、ルーマニア、キューバなどからの需要が大きく増加したとされている。

図2 メキシコ向けブロイラー輸出量の推移

資料:USDA

 

● ● ● 2006年は低調な滑り出しも下半期に大幅な伸び ● ● ●

 USDAによれば、2006年ブロイラー輸出量は、前年比3.7%増の245万2千トンと予測している。半期別に見ると、上半期が前年同期比2.8%減と低調な滑り出しとなるが、下半期は同9.9%増と大幅な伸びが見込まれる。ただし、この予測は鳥インフルエンザの地理的拡大の進展次第であり、発生件数の増加や人体への感染拡大などが現実的になると、国際的なブロイラー需要は大きく影響を受けるものとされている。


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