2005/06年度の主要乳製品輸出量、前半6カ月はかなり増加


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● バターが大幅増加、チーズは減少 ● ● ●

 ニュージーランド(NZ)統計局によると、今年度(2005/06年度)前期(6〜12月)の主要乳製品の輸出量は、前年度(2004/05年度)同期に比べかなり増加した。しかし、2003/04年度同期と比較すると、依然下回っている。乳製品輸出量が好調だった2003/04年度並みに回復しない理由は、前年度は天候不良から、生乳生産量が減少したが、今年度に入っても2005年10月頃の冷涼な気候の影響で生乳生産量が十分に回復していない状況を反映しているとみられる。

 乳製品輸出量を品目別に見ると、バターは前年同期比30.3%増の15万4トン、全粉乳は同2.3%増の31万6千トン、脱脂粉乳は同0.1%増の11万9千トンとそれぞれ増加したが、チーズは同4.1%減の14万1千トンとなった。バターは、ロシアやエジプト、イランなどの中東諸国、ベルギーなどのEU向け輸出量が大幅に増加している。

 なお、デーリーオーストラリア(DA)によると、NZの生乳生産量は、昨年に引き続き天候不順が影響し、現状では前年より2%下回っており、今シーズン中に生産量が回復する見込みは薄いとしている。


● ● ● NZ政府、2005/06年度以降の生乳生産量は徐々に回復と予測 ● ● ●

 一方、ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)は今年に入って、2005年7月に公表した農産物需給の現状と予測「SONZAF2005」の見直し結果を発表した。それによると、2004/05年度(7〜6月)の生乳生産量(乳固形分ベース)は前年度比3.2%減少したが、2005/06年度は、同3.3%増で2003/04年度と同程度の伸びとなると見込んでいる。この要因は、経産牛頭数の増加と一頭当たりの泌乳量の増加によるとしている。

 今後3年間(2006/07〜2008/09年度)の生乳生産量については、同様に経産牛頭数の増加と一頭当たりの泌乳量の増加により、2004/05年度実績から8.3%増加すると予測している。

 しかし、経産牛頭数の増加割合は同期間で3.5%と予測している。この理由は、前回予測と同様、(1)羊肉生産などのより生産性の高い産業への酪農家の転換、(2)需給の緩和による乳製品国際価格の下落などによる生産者支払乳価の低下、(3)酪農家に対する環境規制の強化により酪農家のコスト負担増などの影響−としている。


● ● ● 今後1年半は、乳製品国際価格は低下傾向で推移と予測 ● ● ●

 また、生乳生産量の減少により、2004/05年度(4〜3月)の乳製品輸出量は前年度比15%減少した。同年度の輸出先別シェアを輸出金額ベースで上位から順にみると、米国13%、EU9%、フィリピン6%、日本6%、中国6%、サウジアラビア5%となっている。全体の輸出金額は、56億7800万NZドル(約4,429億円:1NZドル=78円)となった。

 また、乳製品の国際価格は既にピークを迎えており、この先1年半は徐々に低下していくとみている。一方で、NZドル高の為替相場が徐々に是正されることから、国際乳製品価格の低下が、生産者への支払乳価の引き下げ材料とならないともみている。

 乳製品輸出量は、生乳生産量の増加にしたがって、今後3年間で2004/05年度と比較し全体で12%増加するとみている。

 国際乳製品価格については、乳製品輸出量の増加と石油輸入国などの収入の伸びの鈍化で、今後1年半は低下傾向で推移するとみている。また、2005年に実施したEUの輸出補助金の削減についても、国際乳製品価格が下がると再び上昇する可能性があり、それが乳製品の国際市場への過剰供給となり、さらに価格を押し下げる危険性があると指摘している。

生乳生産などの実績および予測

資料:SONZAF2005
注 :2005/06年度は見込み、以降は予測値


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