2005年の生体豚輸入は13年ぶりに減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● アンチダンピングなどの影響で生体豚輸入頭数は減少 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2005年の米国の生体豚輸入頭数(ほぼ全量をカナダから輸入)は前年比3.7%減の819万頭と、92年以来13年ぶりに減少した。その要因としてUSDAは、カナダ産生体豚に対する仮アンチダンピング措置による影響や、カナダの主要輸出州において子豚生産が低調であったことを挙げている。

 内訳を見ると、50キログラム未満の肥育素豚は同3.7%減の541万6千頭となったが、輸入頭数全体に占めるシェアは前年と同じ66.1%を維持した。USDAによると、15年前の肥育素豚のシェアは2割程度にすぎなかったが、近年安いカナダ産の肥育素豚を求めて輸入頭数が増加しており、米国の豚肉生産の拡大を後押ししているとされている。一方、肥育素豚の輸入増加の影響で、米国内における分娩舎の建設および繁殖豚の導入は近年伸び悩んでいるとしている。

図1 カナダからの生体豚輸入頭数の推移

資料:USDA


● ● ● 生体豚輸出頭数は14.3%減 ● ● ●

 生体豚輸出頭数も減少した。USDAによれば、2005年の米国の生体豚輸出頭数は、前年比で14.3%減の14万9千頭となった。前年同月比2〜3倍で増加した2004年に対して、2005年は同30〜90%減となる月が出るなど、輸出頭数は伸び悩んでいる。


● ● ● 米国産トウモロコシのアンチダンピング問題で2006年の輸入頭数は増加を予測 ● ● ●

 USDAによると、2006年の生体豚輸入頭数は、前年比6.1%増の870万頭と予測している。半期別に見ると、上半期が前年同期比11.8%増、下半期は同1.0%増と見込んでいる。上半期が大幅に増加するのは、カナダが米国産トウモロコシの輸入に対して暫定的に課す相殺関税などの影響を予測に折り込んでいることによる。USDAによれば、相殺関税などにより米国産トウモロコシが値上げされることで、カナダの肥育コストは1頭当たり16〜17ドル(1,872〜1,989円:1ドル=117円)上昇すると見込んでおり、カナダの生産者はカナダ東部において肥育を行うよりも、むしろ米国への生体豚輸出を増やすものと予想される。


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