ブラジル養豚協会、全国的な養豚振興を本格的に開始


「養豚友好企業」マークを発表

 ブラジル養豚協会(ABCS)は1月24日、養豚関連産業全体の振興を図るイベントにおいて、「養豚友好企業−ABCS」のマーク導入を発表した。

 この件について2005年7月に就任したヴァレンチーニ会長は、以下のように当方に2006年1月末で説明している。

 ABCSは1955年に設立され、各州の生産者協会が会員となっている全国組織であるが、その活動は盛んとは言えずかつ全国的な団結も弱い状況にあり、生産チェーン各部門が力を合わせ、全体を活性化させて行く必要があると関係者の誰もが感じていた。

 そこでABCSが各部門共同で活動できるような関係を築くためのイニシアティブを取ることとし、今回はマーク導入を発表した。このマーク創設の意図は、「豚肉生産チェーンの発展のために協力してもらえる企業を募る」ことで、かつ「企業としてはマーク利用による利益向上を期待するというよりも、業界全体の発展に寄与しているという自己意識を高めてもらう」ことなどであった。また「マークは生産チェーン全体に対する呼び掛けおよび活動を積極的に開始する最初の資金獲得という意味合いも持っている」と話している。

 この取り組みに参加する企業は、毎月資金協力(500レアル(27,500円:1レアル=55円)、1,000レアル(55,000円)、1,500レアル(82,500円)の3カテゴリー)することにより、マークを製品に貼り付けたり、宣伝に使用したりすることができる。また企業がABCSと共同でイベントを開催することも可能となる。

 なおすでに26企業に対してこのマークの適用が決定され、さらに6企業が関心を寄せているとのことであり、数週間後にこの数は倍増するのではないかと同会長は予想している(3月6日に同協会に確認したところ、34企業が参加しているとのことである)。

 ABCSはこの資金を養豚振興などのために利用することになるが、現在の具体的な活動としては“医師審議会”を結成し栄養学などの面から、豚肉は健康に悪いというイメージを医師という専門家の説明によって解消していくというものがある。


今後の活動目標は商品規格の標準化など

 また同会長はABCSの活動目標として、

・豚肉生産のプロセスや商品の規格を定め標準化を促進
・信頼できる統計データの確立
・豚肉に対する一般的なイメージの向上
・消費を拡大させる条件整備
・衛生条件の担保
などを挙げている。

 例えば「標準化」の内容は今後議論を重ねて定めていくものであるが、現在スーパーなどで骨にわずかな肉が付いて売られているリブをよく見るが、消費者にはこれがリブであるという印象を持っている人が少なくない。従ってリブの肉厚はどの程度であるという規格を定めたいと考えている。

 また統計データについては、現在ブラジルには生産者数、飼養頭数、種豚頭数など養豚関係に関して信頼できるデータがない。生産者協会が発表するデータは都合の良いように変更したものである可能性も否めないし、ブラジル地理統計院 (IBGE)のデータは、技術導入した養豚専門農家と、何の管理もしない庭先の養豚農家を一緒にしたもので意味があるとは思えない。よって研究機関や大学など信頼できる機関において、全国レベルでの統計が必要と考えている。

 なお、今後は生産者以外の部門、例えば食肉処理加工業者、生産資材製造販売者などもABCSへの加盟対象にして行きたいと抱負を語っていた。


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