アルゼンチン、畜産部門への融資を実施


生乳生産者に2億ペソを融資

 政府は2月9日、国立銀行による生乳生産者を対象にした2億ペソ(76億円:1ペソ=38円)の融資を実施することを公表した。これは、生乳の増産と価格安定により、酪農家の収入の改善を図ることを目的としている。

 対象となるのは全国の酪農家で、法人、個人を問わない。融資の使途は、(1)搾乳施設やたい肥舎などの施設建設、増改築やインフラ整備、冷却機械やトラクターなどの購入、牛群や草地の改良などの投資と、(2)飼料、衛生および牧草などに関連した運転資金の2つに分かれ、1経営体当たり30万ペソ(1,140万円)を限度に、(1)の投資の場合は80%、(2)の運転資金の場合は100%融資される。また、金利は年率6.75%に定められ、償還期間は投資については、5年間(うち1年間据え置き)、運転資金は1年間(うち3カ月据え置き)となっている。融資を希望する酪農家は、(1)農牧生産者登録簿(RENSPA)に記載されていること、(2)ブルセラ病および口蹄疫のワクチン接種証明書の提出、(3)結核およびブルセラ病の衛生管理計画書または非疾病証明書の提出−が条件とされている。

 この融資プランを公表したミチェリ経済生産大臣は、「この融資により、生産に必要な機械設備の導入が可能となることで、99年に記録した過去最高の生乳生産量を、2005年は達成できなかったが2006年には更新できるものと期待している。さらに、国内での需要増大に加え、国際市場での需要も増加し、2005年には過去最高の輸出を記録した。低金利による資金の獲得で国内外の需要を満たすことが重要であり、これは政府の要望に沿うもの」としている。

 農牧水産食糧庁(SAGPyA)によると、2005年の乳製品輸出量は前年比2.3%増の27万4千トン、輸出額は同14%増の6億1,700万ドル(721億9千万円:1ドル=117円)となった。

 輸出相手国は112カ国に及び、主要相手国としてはアルジェリア(全輸出量の16%を占める)、ブラジル(同14.4%)、ベネズエラ(同11%)が挙げられる。


肉牛部門へは3億ペソを融資

 2月14日には、肉牛部門を対象とした3億ペソ(114億円)の融資の実施も公表された。

 融資枠は、先の生乳生産者向けの融資と併せて、経済部門全体を対象とする総額45億ペソ(1,710億円)の生産投資融資プログラムに含まれることになる。

 ミチェリ大臣は、「この融資プランはアルゼンチン経済の競争力向上のための政策の一部であり、国産食肉の品質向上を図り、コリエンテス州での口蹄疫発生により市場が閉鎖に追い込まれている現在の緊急事態が解決された後には、国内市場へ十分な供給をしつつ、輸出面でもいっそう重要な地位を占めるよう政府としても努力している」と説明した。また、この融資枠への需要が大きいことも承知しているとし、酪農および肉牛部門への5億ペソ(190億円)の資金が枯渇してもさらに枠の増額を行える状況にあるとしている。

 また、国立銀行総裁は今回の融資について、「牛肉供給量の増加、特に子牛の確保と牧草生産に資するあらゆるタイプの投資に融資するためのもの」であることを強調している。

 融資の対象者は、全国の肉牛生産者で法人、個人を問わず、融資を希望する者は、生乳生産者と同様の条件を負う。また、1経営体当たりの限度額、融資の使途、融資比率は、酪農部門と同様となっている。なお、金利は年率6.82%に定められ、償還期間は、投資については6年間(うち18カ月据え置き)、運転資金は1年間(うち3カ月据え置き)となっている。


養鶏、養豚部門への追加融資も発表

 さらに、2月22日には、国内供給量の増加と輸出力強化を目的に養鶏および養豚部門へも1億5千万ペソ(57億円)の融資が行われることが決定され、畜産部門への融資は合計で6億5千ペソ(247億円)となる。対象となるのは、法人、個人問わず、全国の養鶏または養豚に従事する者で、融資の使途、融資比率は、先の酪農および肉牛部門と同様である。金利はブエノスアイレス銀行間取引レート(BAIOBOR)に基づき定められるとされ、償還期間は、養鶏への投資については6年間(うち12カ月据え置き)、運転資金は1年間(うち3カ月据え置き)、養豚への投資は5年間(うち12カ月据え置き)、運転資金は1年間(うち4カ月据え置き)となっている。


元のページに戻る